マイナス思考より悪いポリアンナ症候群。ポジティブシンキングと現実逃避の違いとは?
今回は、ポジティブシンキングと現実逃避の違いについて考えます。行き過ぎた前向き思考は「ポリアンナ症候群」とも呼ばれ、かえって問題視されています。
ポリアンナ症候群とは、小説「少女パレアナ(ポリアンナ)」が元になって生まれた言葉で、心理的には現実逃避の一種とみなされています。(ただ、パレアナ自身は作品の中で現実逃避はしていません)
ポジティブは良いことですが、それは地に足をつけてこそです。現実に即さない楽観主義は、マイナス思考よりたちが悪いかもしれません。
具体的な行動に移しているか?
現実のうえで行動に起こさなければ、どんな立派な目標や理想も机上の空論です。勉強をしなければ試験に合格できないし、トレーニングを積まねば勝負には勝てません。
楽観主義の裏には、「自分はこれだけやってきた」「周到に準備してきた」などの根拠があります。できる限りやったんだから、あとは自分を信じてやるだけだと考える状態です。
自信をつけるには、小さな成功体験を積み重ねるのも有効です⇒勉強や仕事の効率化にもなる、暮らしにルーティンワークを取り入れるメリットとは。
それまでの努力が不十分だと感じていると、「なるようになるだけだ!」と半ばヤケ気味になったり、奇跡を祈る神頼み的な思考に陥りやすいです。これは、自分の不安を打ち消そうとする心の現れといえます。
目標が大きすぎはしないか?
目標は大きければ大きいほど良いとされますが、自分の能力と見合わないものは「無謀」とも言えます。
全く運動習慣のない人がいきなりフルマラソンに挑戦したり本格登山に挑んだりするのは、どう考えても無謀です。本来は短い距離から始めたり体力づくりをしながら、少しづつ最終目標に近づけていくはずです。
大きな目標を立てるのなら、その途中にいくつもゴールを作ることは基本とも言えます。それがないと理想ばかりが膨らんで、実際の行動に移しづらくなります。
失敗から学んでいるか?
いくら失敗してもそこから何かを得なければ、人は成長できません。単なる現実逃避の場合、失敗から目を背けて学ぼうとする姿勢がありません。
失敗を恐れて動けないのも問題ですが、失敗の原因と対策を考えないのはそれ以上に問題です。下手をすると、「人間は失敗するもの」と開き直るだけで終わる恐れすらあります。
「疲れているときほど無駄遣いするから、寄り道は控えよう」「イライラすると食べ過ぎてしまうから、ほかのストレス解消法を考えよう」。身近な節約やダイエットの失敗にしても、考えられることは色々あります。
かくいう私も、失敗を何度もやってようやく学べる人間です。最近は己の逃避癖を人生で始めて自覚し、逃げずに受け止めるよう意識を変えている最中です。
何度も同じミスを繰り返すのは、失敗から学べていないからです。いつも同じところでつまづく自覚のある人は、一度失敗経験についてじっくり考えるのも良いかと思います。
周りと比べていないか?
よく「上には上がいる」と言いますが、現実逃避では「下には下がいる」となります。自分が悪い状況に立たされても、「もっとひどい目にあっている人がいるんだから」と考えるのです。
自分より立場の悪い人がいるのも事実ですが、実際自分がピンチなのも紛れもない事実です。いくら周りを眺めて安心したところで、己の現状が良くなるわけではありません。
自分も長時間労働で苦しんでいるのに、「もっと残業している人もいる」「無職の人間よりマシ」と思い込んでしまう。そればそうかもしれませんが、これでは自分もいつか倒れてしまうかもしれません。
見るなら下ではなく、上です。自分ももっと前に進もうと思っているかどうかが、楽観主義と現実逃避との違いでもあります。
時間は解決してくれない
「来年こそは痩せて水着を着よう」「5年後にはもっと良い会社に転職しよう」。こう考えたまま、その来年や5年後がきたという経験はないでしょうか。
「まだ先のことだから」と考えると、人はつい先延ばしにしてしまいます。特に半年・1年の単位となると、「それだけ時間があればなんとかなる」と思ってしまうのです。
けれど1年後の自分を形作るのは、ほかでもない今日の自分です。自分が望む未来を迎えるには、今のうちから行動を起こさねばなりません。
目標が1年後なら、半年ごとや3ヶ月ごとにその進行具合をチェックすることも大事です。毎月の目標を立てて、1つづつクリアしていくのも良いと思います。
時間は、何もしなければただ過ぎていくだけです。その間に何をするかで、将来どうなるかも決まります。
楽観主義は、どこまでも現実から出発するものだと思います。良い部分も悪い部分もひっくるめて受け止め、そのうえで良い部分の方を大事にしていくことではないでしょうか。