牛乳石鹸Webムービーが不気味。父親と母親に全く共感できないぞ。
牛乳石鹸のWebムービーが不気味ということで、ちょっとした騒ぎになっている。一体どう不気味なのかと観てみたが、単に不気味である以上にヤバい臭いがした。
特に私がヤバいと感じたのは、父親と母親の態度だ。ネット上では父親の不気味さが騒がれているが、これは母親の方にもちょっと問題があると感じた。
牛乳石鹸のWebムービー「与えるもの」編
まずは、問題のムービーをご覧いただくのが良いかと思ったのだが、すでに動画は削除されてしまっている。ちょっと残念だ。
しょうがないので、実際に観た後の私の実感をお話したい。
1.父親がサイコパスっぽい
私がまず感じたのは、「このお父さんはサイコパスなのか?」ということだ。一体何を考えているのか、全く読み取れないのだ。
私が思う、父親のサイコパスっぽい点が以下↓
・言われたことしかやらない
・行動が場当たり的
・人の話聞かない
言われたことしかやらない
とにかくこのお父さん、言われたことしかやらない。
奥さんに「ゴミ出して」と言われれば素直にやるし、「息子の誕生日だからケーキとプレゼント買ってきて」と言われれば素直に買ってくる。一見良いお父さんっぽいのだが、言われてないことは全くやらないのだ。
まず息子の誕生日でケーキとプレゼントを買うなら、その後の「お祝いする」という流れまで想像が付くはずだ。ならば仕事が終わったら真っ直ぐ家に帰るだろうと思うが、よりにもよって後輩とゆっくり飲んでから家路につくのだ。
このお父さんにとって、息子の誕生日とは何なのか。自ら進んでお祝いしようという気持ちが無さげなのも不気味だ。
さらに長時間放ったらかせば、ナマモノのケーキはダメになる。この父親の気の利かなさは、一家の大黒柱として致命的なんじゃと思う。
行動が場当たり的
この「後輩と飲む」という行動、全く後先を考えてない動きに見える。仕事で失敗した後輩のフォローにしても、もっとやりようがあるんじゃないのか。
これが残業のお願いでも、この父親は素直にYESと言うんじゃなかろうか。仕事を言い訳に家に帰らない親父の典型だ。
人の話聞かない
そしてこの父親は、人の話を聞かない。妻からの電話のスルーに始まり、家へ帰ってきた後の奥さんの文句にも付き合わない。
奥さんが文句を言っているのに、無表情で風呂場へ向かうとはなかなか図太い神経だ。この誕生日に限らず、奥さんの話をそのボンヤリ顔で聞き流していたんだろうか。
ついでに家庭内に限らず、上司の説教も同じテンションで聞いてそうだ。その間も、「風呂入りてえなあ」などと考えていたりするのか。
サイコパスというよりパーソナリティ障害?
しかし実際のサイコパスは、一見社交的で人をコントロールするのが上手い人間だ。このお父さんはサイコパスというよりも、共感能力が低すぎるパーソナリティ障害なのかもしれない。
このムービーの父親は、「頑固親父に育てられて苦労した男」という設定がある。その頑固親父のせいで、ちょっとしたトラウマ持ちになってしまったんじゃないかと不安にもなる。
2.父親の悩みに共感しづらい
一応このWebムービーは、父親の悩み的なものがテーマになっているらしい。ムービーの中に、こんな独白が出て来る↓
「家族思いの優しいパパ、時代なのかもしれない。でもそれって正しいのか」
この父親は、昔ながらの力強い父親像に憧れているということか。わざわざ息子の誕生日に後輩と飲むのも「迷いからくる反抗」に見えなくもない。
さらにこの一文、見ようによっては「家族なんぞ二の次」とも取れる。昔のような、家庭をかえりみない父親が良いというメッセージか。世のお母さん方はもちろん、お父さん方にもどこまで「俺のことじゃん!」と思ってもらえるのか。
そしてこの父親は、自分で「家族思い」と言ってるほど、実際は家族のことを考えていない。前に言ったとおり、ただ言われたことをやってるだけだ。もうちょっと、自主的に家族を思っているような描き方はできなかったのか。
3.奥さんのキャラがご都合過ぎる
ムービーの最後では、父親が母親に「ごめん」と謝り、その後何事も無かったかのように誕生日が祝われる。一見なんてこと無いシーンだが、奥さんの物分りが良すぎてご都合主義に見える。
旦那が息子の誕生日に飲んで帰ってきて、自分の文句を無視して風呂に入る。その時点で怒りがヒートアップして、風呂場へ殴り込むんじゃなかろうか。
一応風呂上がりに謝るものの、奥さんの反応も見ずにさっさとイスに座る辺りどこまで反省しているかも分かりにくい。
それを普通に許してしまう妻というのは、男に取っては都合の良い存在だ。このムービーからは、旦那を優しく包み込む妻像みたいな「男の理想」が感じられて気持ちが悪い。
この分だと、おそらく息子もまた問題のある父親に育つんだろう。
4.結局何を洗い流したいの?
そんなこんなで、全てが丸く収まった風ですムービーは終わってしまう。最後に「さ、洗い流そ」というメッセージが出てくるが、結局何を洗い流したかったのか全く分からない。
このムービーの中で具体的に洗い流してそうなものと言ったら、奥さんの文句くらいだった。息子の誕生日に帰ってこなくて怒る奥さんも、この男にとっては「面倒くせえな」くらいの存在でしか無いということか。
父親は父親なりに色々考えて悩んで、それを洗い流して翌日も頑張ってるつもりなんだろう。が、その悩みに共感できないせいで、見ている側は「洗い流した感」が全く無い。正直、勝手に解決した気になられても困るのだ。
5.作ったのがあの電通
一体どこがこのムービーを作ったのかと思ったら、あの電通だった。そう思うとムービーの中で感じた、
・家族より会社の付き合い優先
・奥さんは旦那を理解して当然
のような空気も納得がいく。なにせ、優秀な女性社員をセクハラや過酷な残業で追い詰めて死に追いやったブラック企業だ。
結局、国からダメ出しを受けたり世間から叩かれたりしても、この会社は全く反省してないということだろう。全社員がそうだとは言わないが、そういう空気が未だに根強いんじゃなかろうか。
牛乳石鹸側がどこまで制作に関わっていたか分からないが、相手が電通では文句も言えなかった可能性がある。もしかしたら牛乳石鹸の会社も、電通の被害者かもしれない。
この広告代理店が幅を利かせている限り、日本のマスメディアは先細る一方だろうなと思った。
牛乳石鹸のムービー問題は、電通の闇の深さとつながっている気がする。諸悪の根源は電通なのに、世間から色々言われる牛乳石鹸は災難だ。
これは炎上狙いのマーケティングなのか、それとも本当に良いと思って作ったものなのか。どちらにしても、闇が深すぎて怖い。