不要なテレビや冷蔵庫など、家電のリサイクルで気を付けたい「無料」の落とし穴。
今回は、不要なテレビや冷蔵庫など家電のリサイクルに関する話です。
ときどき、パソコンや家電などの無料回収のトラックがくることがあります。普通はお金を払うところを、タダで処分できるのはありがたいとも思います。
が、無料には無料なりのワケがあります。それが巡り巡って、やがて高いコストとなって返ってくるかもしれません。
ものを捨てるにもお金がかかる
パソコンや冷蔵庫などの電化製品は、無数の細かい部品が使われています。中には、そのまま燃やすと環境や生き物に有害な、危険なものもあります。
それらを細かく仕分けたり再利用のために処理するのには、当然ながら高いコストがかかります。家電製品を捨てるのにお金がかかるには、こんな理由があるからです。
実は無料じゃない
にも関わらず、なぜ無料回収をうたう業者が多く存在するのか。
良くある手口が、無料と言いながら「実際は一部有料です」といってお金をとられるケース。この場合、自治体に許可を取っていない悪質な業者も多いようです。
送料・リサイクル料無料で送れる業者にしても、段ボールの用意や梱包などをしっかりしないと受け付けてもらえません。無料業者の利用には、そういった手間がいることを計算に入れねばなりません。
電子廃棄物の90%は違法廃棄?
無料廃棄が危険なのは、「無料だと思ったら有料だった」という罠だけではありません。世界的に見ると、電子廃棄物の9割は違法に廃棄されているのです。
高いコストを払うのが嫌で違法な業者に引き取らせ、その違法な業者はまた違法な手段でゴミを処理します。そのときに有毒な物質が発生し、地元の環境に悪い影響を与えたりしています。
日本の電子ゴミの量は200万トンを超え、アメリカ・中国に次いで第3位となっています。そのうちしっかりリサイクルされているものは、50~60万トン止まり。後はゴミとして処理されてしまいます。
ちなみに洋服の処理でも、似たようなことは起こっています⇒「THE TRUE COST~ファストファッション 真の代償~」感想。安い服の裏側とは?
世界最大の電子廃棄物処理場
電子ゴミとなった家電は、「金属くず」として開発途上国に送られます。ガーナの「アグボグブロシー」という地域にも、世界中から電子廃棄物が送られてくる巨大な広場があります。
そこでは電子機器を燃やして、部品に使われている金属を回収する人がたくさん集まっています。このとき、有害な煙のせいで健康を損なう人がとても多いのです。
10代の頃から回収業を始め、20代で亡くなる人が後を絶ちません。これも、ゴミを燃やしたときの煙の影響です。
今は遠いアフリカの話かもしれませんが、地球全体の環境にも悪い影響があるのは明らかです。一時的なお金の節約のために、とてつもない代償を支払わされる可能性もあるのです。
処分にお金を払う責任がある?
電子ゴミの問題をどうにかするには、やはり電子機器を使う私たちが意識を変えるしかありません。リサイクルできるものはしっかりリサイクルするという、当たり前のことを地道にやるのみです。
私も古いノートパソコンを、ほかの不要品と一緒に有料リサイクルに出した経験があります⇒断捨離した不要品の処分に、買い取り王子の宅配リサイクルを利用して感じたメリット
合法な業者に頼んで適切に回収してもらったり、ときには有料リサイクルに頼ることも必要だと思います。一番良くないのは、処分後のことを考えずに安々と捨ててしまうことです。
しっかり処分するには、捨てる側にも手間ヒマを含めたコストが求められます。これを面倒くさがらずに引き受けるのは、使う人の責任とも言えるのではないでしょうか。
家電製品のようなややこしいものを処理するには、それなりのお金と時間がどうしてもかかります。私たちが楽をした分は、必ずどこかで割を食う人がいるのです。
簡単に買い換えないことも含め、処分のことまで考えて家電製品と付き合うことが大切ではないかと思います。