餃子を作ろうとしたら、まれに見る謎のおやきが爆誕。~実録・一人暮らしの節約料理(7)~
一人暮らしの料理、相も変わらず試行錯誤の途中です。今回は、餃子にチャレンジしたら「謎のおやき」が爆誕した話です。
「こんな混沌とした料理は、二度と作りたくない」と思わされた一品。その一部始終をお話します。
最初は餃子のつもりだった……
最初は、餃子を作って食べるつもりでした。ちょうど薄力粉もあるし、自分で皮を作って食べてみようと思い立ったのです。
「粉さえあれば、皮は簡単に作れる」。料理初心者の何の根拠もない自信を元に、私の心は餃子を作る気でいっぱいとなりました。
材料
こちらが、その料理で使った材料です。
・にんじん…半分
・玉ねぎ…半分
・豚ひき肉…150g
・薄力粉…コップ1杯
・水…適量
・卵…1個
・ごま油…適量
・しょうゆ…適量
これで本当に、餃子ができるのか。具の材料からして、少し妙です。
まだ正確な計りを使っておらず、粉は完全に目分量。どれだけの量でどれだけの皮が作れるかなど、全く頭にはありませんでした。これでなぜ「美味しい餃子を作れる」と思ったのか、今でも謎です。
調理開始
凝ったものを作るということで、ちょっと早めに調理を始めました。結局、その努力は無駄に終わりましたが……。
薄力粉で皮を作るが……
まず、薄力粉と水を混ぜて皮を作ります。普通は粉と水の量を正確に計って、ちゃんとした固さになるよう調節するはずです。
けれど私は目分量。適当に粉と水を入れたために、生地がベタついてうまくまとまってくれません。薄力粉をチョコチョコ足すも、効果はほとんどありませんでした。
生地の途中は、こんな感じです。
調べたところによると、正確には以下の量でやるのが良いようです。
・薄力粉…200g
・水…100ml
私の場合、全く無視して水を多めに入れてしまいました。このときほど、「計るものがあれば……!」と後悔したことはありません。
生地のこねを適当に切り上げて、次は皮作りに。生地を2等分して、それぞれを棒状に伸ばします。棒状の生地を6等分にカットして、それぞれ1つ分としました。
とにかく生地がベタベタで、棒状にするにもカットするにもいちいち生地が手に引っ付きます。一応打ち粉もやってはいたのですが、ベタベタ生地の前にはなんの効力もありませんでした。
あまりにベタベタで、薄く伸ばすのもひと苦労です。伸ばした端から生地が破れ、伸ばした生地を剥がそうとしてまた破れ、その度に生地をまとめ直して再びカットしていました。
完全に「破れ→まとめ直し」無限ループにハマり、気付けば90分が経過。生地作りが、全く終わりませんでした。
皮作りだけで、精神力の95%を消耗。これ以上はキリがないと、何とか12枚の皮を打ち粉で仕上げて次に移りました。
↓12枚の皮がこちら
野菜が多すぎる
次は、予めカットしておいた野菜と冷凍の豚ひき肉を混ぜて、具を作ります。けれど……。
野菜が、明らかに多すぎる。人参と玉ねぎの大群に、ひき肉の存在はいとも簡単になき者とされました。
この前に作ったハンバーグ(?)も、野菜が多くて大変なことに……⇒実録・一人暮らしの料理。自炊史上、最高にミステリーなハンバーグ(?)の話
前回の反省を活かして野菜の量は減らしたつもりだったのに、結局この有り様。野菜は、予想以上に具をかさ増しするものだと心に刻みつけました。
卵と薄力粉で何とかまとめてみる
野菜が多すぎて、具がきちんとまとまりません。そこで私は、ハンバーグのタネよろしく卵と薄力粉で何とかまとめてみようとしました。
この時点で、餃子作りからは80%くらい脱線しています。けれども私は、何とか皮に包める具に仕上げようと必死でこね続けました。
皮が足りない
30分ほどこね続け、具っぽくなってきたところで先ほどの皮に具を包みます。けれど、具の量を皮を見比べて私は自分の過ちに気付きました。
どう考えても、具が多い。私が作った12枚の皮では、とうてい包みきれる量ではありませんでした。
それでも諦めの悪い私は、餃子の体にしようと具を皮に包んでみました。が、時間が経った皮がまたベタベタしてきて、ほかの皮とくっついてしまっていました。
慎重に引き剥がして包んではみても、具が多すぎて皮からはみ出ます。包んだ見た目は、具のボコボコが全面に出ている化け物餃子でした。
オマケに生地自体も薄くて、ところどころ破れがち。果たしてこれを、フライパンで上手く焼けるのかという不安も出てきました。
餃子、断念
そして私は、大きな決断を下しました。もう餃子を作るのは断念して、一から別の料理を作ろうと考えたのです。どうせ餃子の具も余ってしまうし、もう無理だと思ってしまいました。
そして疲れきっていた私は、皮や具材を全て一緒くたにボールに放り込みました。餃子の線は、これで完全に消えました。
私は再び、生地と具材を念入りに混ぜあわせ始めました。
絶望しか感じない料理
半ばやけくそ気味に、ボールの中の材料をこね続ける私。何か料理を作っていて、これほどに絶望を感じたことは今までにありません。一応しょうゆで味付けするものの、なんの慰めにもなりませんでした。
「一体私は何をやっているのか?この不毛な作業に、出口はあるのか?果たして、目の前のものはちゃんと食べ物に仕上がるのか?」。考えるほどに、心は重く沈んでいきました。
とにかく焼くしかない
「とにかく、火を通せば食べられるはずだ」。大量の薄力粉と具材を混ぜあわせたものを適当に分け、平たく伸ばしてフライパンに敷き詰めました。
それでも量が多くて、できあがったタネは大きいサイズが8枚分。これだけで、3~4食はまかなえそうなボリュームがありました。
1枚1枚も厚いので、火が通るにも時間がかかる。タネをひっくり返したりフタをしたりと何度も繰り返して、じっくり中まで焼いていきました。
それぞれ表面がこんがりとしてきたところで、お皿に上げます。これを8枚分、実に時間がかかりました。
そして調理にかかった時間、今までで最長の2時間30分。私の長きに渡る激闘は、こうして幕を閉じました。
実食
そして、できあがったものがこちらです。
誰が見ても、これを「元・餃子」とは思わないでしょう。なぜ餃子を作ろうとしてこんな仕上がりになるのか、自分でも分かりません。
おやき?パン?
「ちゃんと火は通っているか、美味しくなっているか?」。不安だらけの中、いざ実食。
パンケーキ?おやき?
薄力粉の生地が前面に押し出された、パンケーキのような仕上がりとなっていました。中の具を考えると、「おやき」と呼べなくもないような気がします。
よく火は通したつもりなのに、中の方は少しネチョッとした部分も。ドロドロとまではいきませんが、生地が厚すぎたようです。
にんじんと玉ねぎが自己アピールしすぎて、やはり「肉」は感じられません。どこをかじっても、出てくるのは野菜のみでした。
1食分を食べても、まだ相当の量が残りました。
これだけあれば、夕飯はしばらく持ちそうです。いっそパンケーキなら、朝ごはんにしても良さそうな気もしました。
このおやきを食べ終わるのに、占めて3日かかりました。その間私は、ご飯とおやきという炭水化物100%の食生活。こんな料理を作っている本人は大真面目というところが、また哀しいところです。
けれど、こんな大失敗が許されるのが、一人暮らしの料理の良いところです。いつしか普通に美味しい夕飯を食べられるその日まで、私の挑戦は果てしなく続きます。