SNSで有名になるために犬猫を飼いたいって人は、後悔する前に止めた方がいいよ
SNSで有名になるために、犬猫などのペットを飼うのはありかなしか?動物を何度か飼っていた実感から考えてみたい。
ペットを飼うこと自体は、いいも悪いもないと思う。飼うのは大変だが、飼う前と後では暮らしの彩りが180°変わる。
だがSNSで有名になることが一番の目的なら、止めた方がいい。気軽に飼うと、後悔する可能性が高いからだ。
犬猫はSNSで人気か?
ことの始めは、SNSで有名なある人のコメントだ。「手っ取り早くSNSで有名になりたかったら猫か犬を飼うとよいらしい」といって、一部の人たちから「犬猫は道具じゃない」などのバッシングが出ている。
たしかに犬猫をはじめ、珍しい動物やかわいいペットはインスタグラムやyoutubeで大人気だ。うまくいけば、てっとり早くファンを増やせるだろう。
かくいう私も、犬猫の写真をアップしているインスタグラマーをフォローしている。かわいい犬猫を見ると癒やされるのだ。
犬猫の写真をSNSにアップするのは、有名になるとっかかりとして効果がある。これは事実だと思う。
犬猫を飼うコスト
問題は、実際に犬猫を飼うためにかかるコストだ。SNSで有名になるためにペットでかける手間ひまが、割にあうかどうかは疑問である。
犬猫を飼ったことがある人なら分かると思うが、ヤツらは思った以上に世話がやける存在だ。そういう部分も含めて愛せないと、後々までめんどうを見続けるのは難しいんじゃなかろうか。
ペットの世話にはお金がかかる
まず純粋に、ペットはお金がかかる。ご飯にしても医者にしても、人のものより高いのだ。
ペット保険のアニコムによれば、犬猫にかかる年間の支出の平均はこんな感じになっている↓
・犬の場合
医療費…57,129円
ごはん代…49,994円
予防接種など…24,862円
合計…131,985円
・猫の場合
医療費…35,016円
ごはん代…41,503円
予防接種など…8,638円
合計…85,857円
おそらくメインでかかるコストは、この3つかと思う。犬13万円、猫8万円である。
ペットは保険がきかないから、病気やケガのときが大変なのだ。歳をとれば年に数回は具合が悪くなるのが当たり前なので、その分費用がかさむ。
定期的に通院ともなれば、動物病院までの交通費もかかる。自分の車がないと、タクシー代などがバカにならないだろう。
さらにトレーニング代や洋服代などもろもろを含めると、犬33万円・猫16万円という結果に。犬にいたっては、私の月収の半年分くらいかかる計算だ。
SNS映えをねらうとなると、話題のスポットへ連れ回す・新しいアクセサリーを買うなど、手は抜けないだろう。やはり最低でも、数十万円のコストは覚悟したほうがいい。
ついでに写真や動画にもお金がかかる
さらにSNSにアップするからには、カメラが欠かせない。犬猫はちょこまか動くので、スマホのカメラくらいではまともな絵が撮れないのだ。
動物の撮影なら、動くものがキレイに撮れる一眼レフがほしいところだ。安くて5~6万円、高いものは20~30万円くらいか。
無数のライバルたちは、犬猫のために高性能のカメラを使っている。ここをケチっていては、SNSで成り上がるなど無理だろう。
世話の手間もかかる
お金もそうだが、時間のコストもかなりかかる。極端なはなし、24時間いかなるときでも目を離せないのが動物というものだ。
トイレの世話、ご飯の世話、寝るときの世話、かまって攻撃にあったときの世話など、とにかく忙しい。猫の飼い主はよく自分のことを下僕というが、本当にそうだなと思う。
さらに医療やペットフードの進歩などで、犬猫の寿命も伸びている。ペットフード協会によれば、平均寿命はこうなっている↓
犬が14.19歳、猫が15.33歳だ。猫の方がやや長生きだった。
これはあくまでも平均寿命だから、もっと長生きの犬猫も大勢いるだろう。長いと、20年以上生き延びたりするから注意だ。
いったん犬猫を飼ったら、15年くらいは付き合っていかにゃいけない。SNSで有名になることに成功したとして、そのあとも面倒を見つづける心意気はあるだろうか。
ペットの高齢化による、介護の負担も無視できない。寝たきりになった犬猫の世話に悩む飼い主が、最近増えてきている。高齢化が問題になるのは、動物も人間もいっしょらしい。
年間の犬猫処分数
面倒をみきれなくなったとき、人はペットを保健所へ連れていく。そのあとに待ち受けるのは、ガス室での殺処分だ。
年間にどれくらいの犬猫が処分されているのか、環境省の統計から分かる↓
一年で11万匹が保健所に引き取られ、56,000匹が処分されている。保健所行きになった犬猫の半数は、生き残れないのだ。
引き取られたうちの85%は、所有者不明の犬猫だ。逃げ出してしまったケースもあるだろうが、飼いきれずに捨てられた犬猫もいるだろう。直接保健所まで持ってくる強者が、まだ1万人以上いるであろうことも無視できない。
最近では犬猫も里親制度などが増えてきて、殺処分される数は減り続けている。しかしそれでも、5万匹は多すぎやしないか。
飼うんなら最後までお世話してね
たとえSNSが目的でも、犬猫を飼うこと自体は悪くない。犬猫の魅力に目覚めて、暮らしが楽しくなればハッピーだ。
ただ飼うのなら、最後まで世話するのが飼い主の責任だ。動物愛護法でも、
・動物の所有者は、その所有する動物の飼養又は保管の目的等を達する上で支障を及ぼさない範囲で、できる限り、当該動物がその命を終えるまで適切に飼養すること(以下「終生飼養」という。)に努めなければならない。
とある。つまりは「寿命までちゃんと世話してね」と決められているのだ。
少なくとも15年しっかり飼い続ける自信がないなら、止めた方が身のためだろう。SNSでてっとり早く有名になりたくて「犬猫飼おう!」と思ってしまうような人は、注意した方がいい。