夏、犬を昼間に散歩させるのはもはや動物虐待。ペットにも熱中症対策は必須です。
昼間の炎天下に犬を散歩させているのを見ると、「一種の動物虐待じゃないか」と思う。
新聞やテレビでも、最近は「昼の散歩はヤバい!」という情報が流れ始めた。しかしそれでも、未だに昼間の散歩を止めない飼い主がいるのは嘆かわしいことである。
人間の熱中症以上に、犬は熱に弱い。そこで、ペットが熱中症にならないための対策を見ていこうと思う。
アスファルトは鉄板と一緒
実際に触ってみると分かるが、真夏の炎天下にさらされたアスファルトはとてつもなく熱い。一説によれば、最高で50~60℃にまで達するということだ。
人間だって靴を履いていても、足の裏が熱くなってくる。ましてや無防備の犬の足では、そのダメージは絶大。ひどいときは、肉球が火傷することもある。
さらに問題なのは、地面が反射する熱だ。地面に近い犬の方が熱をもろに受けるから、また余計に暑くなる。地面の近くだと、体感温度は40℃を軽く超えるというデータもあるのだ。
そんな中何十分も歩き続けていれば、熱中症になってもおかしくはないだろう。真夏の昼の散歩というのは、犬にとっては焼き土下座と同じくらいの過酷さがあるんじゃなかろうか。
人間だって暑いだろうが、犬はもっと暑い。例え犬が「散歩させろ」と言ってきても、炎天下では絶対に止めた方が安全だ。
やはり安全で確実なのは、「日の出前・日暮れ後」だ。特に夏は、夕方でもまだ暑い。実家の犬の場合、夏は6時過ぎから散歩に行くことが多い。
しかし日が沈んでしばらくしても、アスファルトは温かいし周囲も蒸し暑い。我が飼い犬も体力が落ち気味のせいか、夕方の散歩でも途中で舌を出して暑苦しそうにしている。
5月でも暑さはヤバい
じゃあ真夏以外なら大丈夫かと言うと、そうでもない。日差しが強くなる5月頃から、もう犬にとっては危険ゾーンに入ってくる。
昨今は温暖化の影響で、春から秋にかけても暑さがキツい。季節に限らず「今日は日差しがヤバい」というときは、昼間の散歩は止めた方が良いんじゃないかと思う。
散歩コースは土が多めの場所へ
とにかくアスファルトが危ないので、散歩コースは芝生や土が多めの方がおすすめできる。近所に公園があれば、まさに理想的だと思う。
実家の周りは幸いにして自然が多いので、散歩コースには困らない。アスファルトよりも木や土に囲まれた道の方が、人間にとっても涼しいのでありがたい。
ただ1つ問題があるのは、とにかく蚊が多いということだ。夏の散歩では、虫除けスプレーは必須アイテムと言える。
さらに犬を飼っている人ならご存知かと思うが、犬には蚊から感染するフィラリアという恐ろしい病気もある。万が一「フィラリアの予防をしてない」という飼い主がいたら、今日明日にでも動物病院へ行ってほしい。
水分で体温を下げる
散歩の時間帯に気を付けるとともに、犬の体温を下げるのも熱中症に効果的。霧吹きで水を吹きかける方法が、一番手軽だ。家族もよく犬に霧吹きをシュッシュしているが、犬も気持ちよさそうにしている。
犬は汗腺が足の裏にしかないので、汗をかいて体温を下げるということが出来ない。それでなくても犬は人より体温が高めなので、夏場は特に注意したいところだ。
犬小屋は危険?
一軒家だと、まだまだ犬小屋で犬を飼っている人が多いんじゃないかと思う。それはそれで良いのだが、真夏に日が当たらないような場所に置くなど、多少の工夫は必要じゃないだろうか。いくら直射日光が当たらないと言っても、風通しの悪い空間は暑苦しくてしょうがない。
しかし私としては、最初から室内飼いする方が目も届きやすくて良いんじゃないかと思う。イタズラをされたり、大型犬の場合は寝る場所などが大変などのデメリットもあるが、部屋の中に犬がいる生活は楽しいものだ。
様子がおかしかったらすぐに病院へ
万が一様子がおかしかったら、すぐさま病院に連れて行く方が良い。動物は、すぐに状態が悪化することも多いからだ。
我が家では犬は熱中症にかかったことはないが、齢をとった猫が暑さにへばったことがあった。そのときは動物病院で点滴を打ってもらい、家ではしばらくクーラーを付けるようにしていた。
そのかいあってか、猫は数日で回復した。その後一年以上も生きたから、病院に連れて行って良かったと今でも思う。
(病院代は家族持ちだったが)
ペット相手に過保護な奴だという意見もありそうだが、動物とて大事な家族だ。むしろ自力で病院にいけない犬や猫を治療させるのは、飼い主の大事な仕事じゃないかと思う。
自分の子供だったどう?
ペットを大事にする人は大事にするが、大事にしない人は大事にしない。そういう人には、「もしこれが自分の子供だったらどうなのか」と聞いてみたい。
自分の子供だったら熱中症にももっと気を遣うだろうし、具合悪そうにしていたらすぐに病院へ駆け込むはずだ。「動物・人間」の分け隔てなく、家族として考えることが大事なんじゃないか。
それでも自分の都合で子供を真夏に連れて歩く大人や、車の中で留守番させてしまう大人も未だにいる。しかし人間の大人には耐えられる暑さでも、子供や動物には無理な場合は多い。
そういう人は、「自分の暑さ=子供の暑さ」のように、「自分は大丈夫だから」と単純に考えてしまっているのかもしれない。自分よりも小さくて体力の無いものに対する、想像力というものが必要なんじゃなかろうか。
ペットの暑さ対策は、むしろ人間よりも大事かもしれない。特に犬は暑さに弱い動物なので、気を付けてもらいたい。ペットの熱中症対策をしないというのは、もはや暴力に近い。
いっそペットを買うのは、免許制などにした方が良いんじゃないのか。健康や病気の管理がしっかり出来ない人間には、ペットを飼う資格はないだろう。