断捨離しないと将来どうなる?片付けを30年避けてきた女の経験からシミュレートしてみる
片付けを避け続けていると、30年後どういう未来が待ち受けるのか?断捨離を30年全くやらなかった私の経験をもとにシミュレートしてみたい。
私がミニマリストに目覚めないまま還暦を迎えたら、こんな暮らしをしていたかもしれない。それは、今断捨離を先延ばしにしているあなたの未来でもあるのだ。
3つの「ない」に悩まされる
まっさきに思い浮かぶのが、無い無い病に悩まされんじゃということだ。たくさんの荷物に囲まれる代わりに、もっと大事な3つを失うのだ↓
1.場所
当たり前だが、荷物が置いてあるから部屋に場所がない。今住んでいるアパートが約15平米だが、仮にそのまま暮らし続けたらどうなるだろうか。
メインの部屋の広さはこんな感じ↓
ここに60年分の荷物を置くのだ。床はもちろん、天井ちかくまで荷物で埋め尽くされるだろう。まさにテレビに出てくるような汚部屋そのものだ。
今はロフトを寝る場所にしているが、おそらくそこも荷物に侵食される。布団の周りは、私が増やし続けてきたオタクグッズコレクションで囲まれることになるだろう。
もし捨てない人生でも物書きをやっているとしたら、荷物に囲まれながら文章を書くことになるのか。考えただけで気が滅入ってくる光景である。
2.時間がない
荷物はそこらじゅうに散らばっているから、探しもの・無くしものは日常茶飯事。ものに振り回されて時間がなくなる。探しもので時間がつぶれるのは、すでに20代の頃経験済みだ。
汚部屋の暮らしでは、おそらくこんなことを繰り返すだろう↓
・朝はメガネを探すところから
・ガレキからスマホを漁る
・買い出しに行こうとするが、財布が見つからない
・ついでにお金もおろしたいが、銀行の通帳もない
・ついでにカギもどこかに行ってしまった
・服も何着ればいいの?
・ここまでで1時間くらい費やす
・1日がどんどん過ぎ去っていく……
・もう明日でいいや
探しものの時間は、ムダなうえに疲れる。多分探し当てたところで精魂尽きはて、翌日へ先延ばしにするだろう。だが翌日も同じことをくり返して、いつまでも先へ進めないのだ。
たまに部屋をキレイにしようと頑張るが、捨てる発想がないからおもに荷物の積み替え・移し替えで終わる。すぐ元通り散らかり、また整理整頓を頑張るという時間のムダ遣い。そんなことを、年に数回のひんどでやり続けるんじゃなかろうか。
3.お金がない
部屋が散らかっているおかげで、日用品もひんぱんになくなる。未使用のセスキ炭酸や歯ブラシが、そこら辺にいくつも転がってそうだ。
やがてこのままじゃいけないと一念発起し、片付け&収納を頑張ろうとする。そこでまずは、大きな収納ケースや収納便利グッズをネットで頼む。収納さえあれば、部屋がキレイになると勘違いしているのだ。
もちろん、いらない荷物を詰め込むだけで部屋はキレイにならない。むしろ収納のせいで、よけいに部屋が狭くなる。だがそれにも懲りず、あらたな収納グッズに頼ろうとする。
こんなことのくり返しで、収納に費やすお金はいつしか数十万円単位にまでふくれ上がる。だが自分ではそのことに気付かず、なんでお金がないんだろうとボヤき続けるのだ。
迷ってばかりでつかれる
ものを捨ててこなかったおかげで、決断力がまったく身についていない。今日はなにを食べるか、服の洗濯はどうするかなど、あらゆることでイチイチ悩む。
人はなにかに迷うたびエネルギーを使うから、悩みだけで疲れ果てほかのことをやる気力が湧かない。日々の仕事で手一杯で、未知なることへのチャレンジ精神など湧きようもない。
だがそういう自分も、「歳のせいだから」で済ませてしまう。そうして日々の雑事に追われて、やりたいこともできずじまいなんだろう。
ケガが多くなる
やがては足腰もおとろえ、ものにつまづきやすくなる。汚部屋はその危険性がより高い。多分1日に3~4回は、家の中で転ぶんじゃなかろうか。
さらに我が家は、車が走るたびに揺れる。おそらく週に1度くらいの割り合いで、山積みの荷物がナダレを起こす。荷物が頭に降りそそぎ、そのたびに身の危険を感じる。
うまくいかないのを荷物のせいにする
時間・場所・お金もなく、ケガばかりで優柔不断。自分の人生はうまくいかないのは何故かと思うようになる。
それは全て、部屋が汚いせいだ。60を迎えた私はそう思うだろう。部屋が汚くさえすれば、もっと楽しい人生を過ごせたかもしれない。
確かに荷物のせいでいろいろな不都合が降りかかるのは事実だが、そういう現実を選んだのは自分だ。人生がうまくいかないのも荷物のせいじゃなく、荷物を溜め込んだ考え方そのものに原因がある。
そこに気付ければ、まだ変われるチャンスがあるかもしれない。しかし歳をとった人間ほど、考えを変えるのが難しいという。ドラマのような逆転劇など、たぶん起こらないだろう。
片付けノウハウを漁るが……
ある日このままじゃいけないと一念発起し、片付けノウハウを漁ってみたりもする。30年後にどんな片付け法が流行っているか知らないが、やっぱり断捨離にかぶれたりするんだろうか。
だが60年も荷物を捨ててこなかった人間にとって、断捨離はなによりハードルが高い。これはまだ使えるし、こっちも役立ちそうだし……などとウジウジ考えて、ちっとも荷物が減らない。まずここで挫折する可能性が80%はありそうだ。
のこり20%は、逆に手当たり次第に荷物を捨てる。いる・いらないを考えるのがめんどくさいから、目についたもの全てをゴミ袋へ詰め込む。
だが体力が落ちているから、細々した荷物を捨てるのが限界だ。おそらく一番じゃまな収納グッズはそのままになるだろう。思ったより部屋がキレイにならないことに、軽く絶望する。
また無差別に荷物を捨てたせいで、間違って大事なものまで捨ててしまう。後から散々探し回っても見つからず、もう断捨離などすまいと心に固く誓うのだ。
セルフ・ネグレクトで命の危機
荷物だけがどんどん増えていき、やる気を奪っていく。もともと面倒くさがりの人間だが、その傾向がエスカレートしていく。
外へ出るのが面倒だから、買い物はネットで済ませる。外に出るのは、1週間にいちどあればいいくらいにまで激減する。
もちろんこの状況では料理も作れないから、すぐ食べられるものを買って済ませるだろう。外で食べることもめんどくさくなる
シャワー室のドアも荷物でふさがっているから、開けしめがおっくうになる。やがてシャワーを浴びること自体がおっくうになり、1日おき・2日おきと延びていく。やがては月に数えるほどしか身体を洗わなくなるだろう。歯も磨くかあやしいところだ。
外へ出ない・栄養をちゃんととらないで、体力が落ちていく。体力が落ちる→動けない→めんどくさいのサイクルで、生活がすさんでいく。そのうち、ふとんのうえから動かない生活になるだろう。
ふとんのうえから動かなくなると、起きることもおっくうになる。そのまま寝たきりの時間が増えて、命の危機にまで発展するのだ。
なにを大げさなと思われそうだが、こういう事件はじっさい起こっている。高齢者のセルフネグレクト問題は社会問題なのだ。
セルフネグレクトの話はこちらでも⇒生きるのが面倒?若者でもかかるセルフネグレクト対策を、独身30代が考える。
汚部屋は、セルフネグレクトの大きなきっかけになると思う。部屋が散らかってきたら要注意だ。
歳を取ってから片付けようというが……
歳を取ってから片付けるという人は多いが、若いうちから片付けられない荷物を年寄りの自分が片付けられるのか。多分無理だ。
お金があれば、プロに頼んで片付けを手伝ってもらえるかもしれない。だが格差が広がる昨今、荷物をそのままにする人の方が多くなるんじゃないのか。
私はといえばもちろん、歳をとっても貧乏に属する人間だろう。もう自分じゃどうにもならないから、死んでから誰かに片付けてもらおうと考えるかもしれない。自分の人生だからそれでもいいんだが、残された方が大変だ。
そういう年寄りが増えたら、遺品整理も大きな社会問題になるんだろう。政府は今のうちから対策を考えた方がいいんじゃなかろうか。
私はパッとしない毎日をおくっているが、荷物を捨てなかったらもっと薄暗い将来が待っていただろう。そこだけは、若いうちになんとかできてよかったなと思っている。
人間30を過ぎたら、歳を取るなどあっという間だ。老後も荷物に囲まれていきたいのか、一度はじっくり考えたい。