老後サバイバル術の決定版。畠中雅子さん「1000万以下でも老後は暮らせる!」感想
貧乏人にとって、老後はなによりの心配事だ。そんなお悩みに応える本「1000万以下でも老後は暮らせる!」を読んだので感想を紹介したい。
よく「老後資金は3000万必要」と言われるが、厳しい経済状況では貯金もままならない。しかしその1/3の金額でもやっていけるのなら、老後にも少しは希望が持てるというものだ。
今50代の人向けか?
老後に向けた本だけあって、ターゲット読者層は40代後半~50代の中高年層と思われる。その年代で貯金も少ないとなれば不安は30代の私の比じゃないだろうから、うってつけの本だ。
そのため本の内容も、ターゲット層が老後を迎える10~20年後くらいを想定しているのかなと思った。もちろんそれでいいのだが、それだと30代や20代には参考にしづらい部分も出てくる。
著者の畠中さんは「今の年代は年金をもらえるのが65歳以降になる可能性が高い」と言っているが、私たちの世代以下だと60代で貰えない可能性が高い。一番ありそうなのは70~75歳以降、さらに進んで80歳以降ということも有り得そうだ。
年金をもらえる時期が10年もズレれば、老後の資金計画も大きく変わる。最悪80歳以降からの受給となれば、貯金1000万では足りないだろう。
そうなると貯金のみならず、資産運用で積極的に増やしていくことも必要かと思う。本の中では「投資で増やすのはおすすめできない」と言っているが、30代は投資も考えておいたほうがいい。
ただ素人が株や為替に手を出しても、儲かる見込みは薄い。積み立てNISAやiDeCo(確定拠出年金)などで、時間をかけてコツコツ増やしていくのが安全そうだ。
私も貧乏ながら、準備だけはしている。詳しくはこちら⇒つみたてNISA口座開設の手続き方法を、分かりやすく解説。実録・30代独身女の積立投資
私の場合、まずは年金の滞納分を払い切るところから始めなきゃいけない。問題はそのための収入源をどう作るかである。
本はこちら↓
目の前の節約だけでは足りない
老後の資産について考えるには、長期的な目線が必要だ。5年後や10年後にどれくらいのお金を使うのか、将来の大まかな収支を分かってなければ計画は立てられない。この点私は、「自分は長期的な資産設計が全く無い」と本を読んでいて痛感した。
今は目の前のお金のことで手一杯で、将来について考えることがほとんどない。そもそもお金が無いから、「ああしたい」「こうしたい」と考える気も起きない。
しかし「収入が増えたらやりたいことも出てくるのか?」というと、それも微妙だ。現状通り、マイペースに文章を書いてゲームができればそれでいいという気がしなくもない。ゲームに関わる仕事ができればなあと思うときもあるが、それはお金でどうこうなる話じゃない。
将来設計を立てるにしても、それはある程度お金を持った人ができることのようだ。やはりまずは、先立つものを確保するのが最優先である。
収入が増えたらまっさきに考えないといけないのは、借金返済問題だ。詳しくはこちら⇒【絶望しかねえ……】奨学金&年金の滞納分、合計253万円。どう返すか真剣に考えてみた~カレジョ借金返済へのみち~
老後も働くのが一番安心
それでもあえて将来を考えるなら、「生涯現役でお金を稼ぐ」というのが目標だろうか。今はほそぼそ自営業として働いているので、やる気さえあれば一生仕事を続けられる。
老後破産など貧困問題で不安になるのは、老後働かないことを前提に年金や貯金だけで暮らそうと考えるからだ。もし生涯現役で通せるなら、老後の心配は一気に減る。
畠中さんは本の中で「定年後の起業を考えてみては?」とアドバイスしているが、副業で稼ぐことは今からでもできる。定年後と言わず、現役のうちに準備を進めるのもありかと思う。まずはネットで無料の情報を集めるところから始めるのがいい。
終の住処の対策
老後の問題には「住まい」の問題もある。今は30代なので危機感ほぼゼロだが、60~70代になれば事情は変わる。
今は気楽な賃貸暮らしだが、年を取ってからでは部屋を借りられない可能性は充分ある。かといって高齢者向け賃貸はどこも家賃が高めなので、今までどおりの安い家賃で暮らすのも楽じゃなさそうだ。
高齢者でも住める賃貸としては「UR賃貸」などの公営住宅がおすすめされているが、これも貯金や収入が一定のラインを超えていることが条件だ。結局は収入を増やすところから始めなきゃいけない。
UR賃貸の話はこちらでも詳しく⇒収入ほぼゼロでも家を借りられる?UR賃貸が在宅ライターにも嬉しい5つの理由とは
自分が住む家もそうだが、空き家になった後の実家についても考えないといけない。対策としては、本の中では「賃貸に出す」「売って住み替え」などのプランが紹介されていた。
持ち家が立地のいい場所にあるなら、賃貸物件にすれば家賃収入が得られて安心だ。民間の業者に比べて家賃は下がるが、「移住・住み替え支援機構」の制度を利用すれば安定した家賃収入が得られるという。「賃貸=不動産屋」と思っていたので、こういう制度もあるのかと勉強になった。
持ち家に住みながら、持ち家を担保にしてお金を借りる「リバースモーゲージ」という制度もある。一人で実家に住むなら、そういう選択肢もありかと思う。
無視できない介護の問題
持ち家以上に危機感が薄いのが、介護の問題だ。今のところ病気もないし足腰も弱ってないので、具体的にイメージするのが難しい。
子供の私が現状考えるべきは、親の介護問題だろうか。老人ホームやケアハウスのことなど全く分からないので、ここは1から勉強しなきゃならないだろう。しかし経済的なことを考えると、やはりお金の確保が先だ。
自分の介護については、若いうちから対策のしようはあるかと思う。本では介護が必要になる前提で話が進んでいるが、日頃から身体を動かしておけば老後も元気でいられる見込みは十分ある。
私が老後を迎える頃には、介護問題はますます深刻になっていることだろう。老人ホームやケアハウスに入れない可能性を考え、自分のことは自分でできる体力を付けておきたい。脳卒中などの後遺症で要介護になる可能性もあるが、こちらは日頃の生活習慣を見直せば対策できる。
本のなかでも「介護施設の見学は60代を過ぎてからがいい」とおすすめされている。若いうちから熱心に見学しても将来の保証がないし、現役世代の見学は断られやすいのだという。どのみち30代の今は、己の健康を気遣うのが一番の対策のようだ。
節約の話が中心になるかと思いきや、本の中では将来のプラン設計について具体的に書かれていた。まさに「老後のサバイバル術」である。
30を過ぎると、1年過ぎるのが早い。まだ気が早いと思われそうだが、老後についてもボチボチ考えておくと安心じゃなかろうか。