爆笑しつつもジンとくる。「旅したら豆腐メンタルなおるかな?」感想
小久ヒロさん著のコミックエッセイ「旅したら豆腐メンタルなおるかな?」の感想を紹介したい。
作者の小久さんはかつては豆腐メンタルで悩み、どん底の苦しみを味わったという。そんな豆腐メンタルを克服するべく、世界中を旅した記録が描かれている。
私もコミュ障で豆腐メンタル持ちだが、待ち受けるトラブルに右往左往する小久さんの姿に爆笑。その一方で、「よかったなあ」とジンとさせられた。
豆腐メンタルとは?
豆腐メンタルとはその名のとおり、メンタルが豆腐並みにヤワな人間のことを言う。とにかく自分に自信がなく、ちょっとしたことで深く傷つくガラスハートの持ち主だ。
豆腐メンタルの大きな特徴として、こんなものがある↓
・人になんか言われると数日は凹む
・失敗すると立ち直れない
・「すみません」が口癖
・人前にいると緊張する
・言いたいことを言えず周りに流されがち
おそらく豆腐メンタルの方ならば、どれもいやというほど経験してきたことだろう。かくいう私も、これまでの人生は大体こんな感じだった。
本を書いた小久さんは30代というから、私と同じくらいの年代か。当たり前なのだが、同じような悩みを長年抱えてきた人は私以外にもいるのだと改めて思った。
豆腐メンタルのさらなる実態はこちらから↓
豆腐メンタルの自滅パターン
小久さんのいきさつを読んできて、豆腐メンタルには同じような自滅パターンがあるなと思った。この自滅パターンのせいで人生を自由に楽しめず、生き辛さを抱えてしまっているのだ。
私が思う自滅パターンはこんな感じだ↓
・自分に自信が持てないのでガマンしてしまう
・ガマンが重なるとストレスが溜まる
・周りに八つ当たりしたり体調を崩してしまう
・仕事や人間関係にもヒビが入る
・どうしようもなくなるとその場から逃げる
・そんな自分を責める
・ますます自信がなくなる
このサイクルをくり返し、豆腐メンタルにますます磨きがかかっていくのだ。
思えばこれまで、何かあるたびにこのパターンを発動させて逃げ回ってきたように思う。新天地へ行くたびに「今度こそは」と思うのだが、やはり同じ轍(テツ)を踏んでしまうのだ。
旅はトラブルだらけ
小久さん自身も、そんな自分を変えるために行動へ出た。それが、自分の気になる国へ旅にいくということだった。
そこで最初はドイツへ行くものの、全く笑わない国民性にいきなり心は粉砕。その後も福島で威圧的な先輩にビビり、台湾では占いでケチョンケチョンに言われ、タイでは詐欺師にツバを吐かれる。豆腐メンタルはこの時点で、「やっぱ外のセカイは怖え……!」と怖気づくこと必至だ。
だが一方で、現地の人々の温かさにも触れる。優しくされることに慣れていない豆腐メンタルは有頂天になる一方で、「いや、他人を信じちゃイカン!」と警戒してしまう。
このような感じで、恐怖→歓喜→疑惑と、感情があらゆる方向に大きく揺れ動いて休まることがない。これぞまさに豆腐の真骨頂である。自分にも思い当たるフシが多すぎて笑ってしまった。
自分の軸がない豆腐メンタル
なぜ豆腐メンタルは、こんなにも感情の浮き沈みが激しいのか?それは、豆腐メンタルの視点は常に「他人から見られる自分」に向いているからだ。
豆腐メンタルの場合、常に「他人からどう思われるか?」に意識が向けられる。だからひどい言葉を言われれば傷つくし、優しくされるとすぐ舞い上がってしまうのだ。
なぜそこまで他人の目が気になるかといえば、自分のやりたいことをやってないことが大きな原因かと思う。自分の行動パターンに軸がないのだ。
自分の軸がないということは、やったことの評価を他人任せにしてしまうことでもある。だから外野のいうことや、環境に振り回されるんじゃなかろうか。
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やりたいことをやろう
小久さん自身もドイツへ旅に出る前、「ドイツはあまり女性に人気がない」「周りから反対されたら……」ということを気にして迷っていた。本来なら、豆腐メンタルはここで諦めるところだ。
だがガマンにガマンを重ねても、ちっとも楽にはならなかった。そんな自分に半ば怒りを覚えながら、小久さんは「やりたいことをやるんだ!」とドイツ行きを決心するのだ。
自滅パターンのところでも言ったが、豆腐メンタルはガマンが得意だ。それゆえに、自分のやりたいことを後回しにする悪いクセがある。
だからこそ脱豆腐のためには、やりたいことをやりたいようにやるのが一番かと思う。どんなに小さなことでもいいから、やりたいことを見つけることが大事だ。
豆腐メンタルを克服するには?
小久さんは旅先で色々な目にあいながら、自身の豆腐メンタルを克服していく。私が本を読んだなかで、小久さんが豆腐メンタルを克服できたポイントを挙げてみたい。
自分の好きなことをみつける
まずなんと言っても、自分のやりたいことを見つけることだ。小久さんの場合は、気になる国へ行くということだった。
「やりたいことなんてない」という人でも、なにか好きなことが1つはあるはずだ。頭に真っ先に浮かんだことをやってみるのがいいと思う。
このとき間違っても、言い訳をしちゃいけない。「でも……」という言葉が出た瞬間、メンタルにブロックがかかって自分の本音が分からなくなるからだ。
他人の目・お金の問題など、もっともらしい言い訳は無数にあるだろう。だが豆腐メンタルは、長年そういうものに振り回され苦労してきたのだ。もっと自分の心に素直になるときだ。
外の世界に触れる
小久さんは旅先で、未知のものにたくさん触れた。これも、豆腐メンタルの克服にはよかったのではないかと思う。
豆腐メンタルは外の世界が怖いゆえに、なんでも一人きりで考えがちだ。一人で悩んで一人で苦しみ、視野がどんどん狭くなっていくのだ。
だが外の世界に出れば、色々な人がいる。自分の考えが、絶対じゃないということも分かってくる。
小久さんが台湾で占いの結果にショックを受けたときも、現地で知り合ったおばちゃんは「占いなんて信じてない」「失敗しても『自分の人生は素晴らしい』と笑えばいい」と言い切る。小久さんはこの言葉に大きな衝撃を受けた。
人と関われば、その分視野が広がる。この点は私自身まだまだだが、ぜひとも実践したい。
自分の状況を客観的に振り返る
落ち込んだときは、自分の今の状況を客観的に振り返るといい。自分が自滅パターンにハマりそうになっていると分かるはずだ。
小久さんも旅先でヒドイ目にあったとき、「これじゃ今までと一緒だ」を己を振り返る。そんなパターンを変えるため、あえて今までとは違う行動に出るのだ。
豆腐メンタルは、ともすると感傷的になりがちだ。そして感情に流されるまま、過去の失敗パターンをくり返してしまう。
だが本来、自分の感情と事実はまったくの別物だ。そんな感情を冷静に振り返り、意識的に行動パターンを変えることが大事じゃなかろうか。
今すぐ豆腐を止める3つのコツ
さらに巻末には、小久さんの「豆腐メンタルを克服する3つのコツ」も紹介されている。それがこちらだ↓
・「すみません」を止める
・「嫌い」はお互いさま
・「タテ」のつながりを思い出す
詳しくは、本を読んでいただければと思う。この3つに共通するのは、「自分で自分を責めない」「自分を卑下しない」ということだ。
いきなりは難しいかもしれないが、こういうパターンを知っていると行動を変えやすい。ときには「責めてもしょうがねえな」と吹っ切れることも大事だ。
空気を読むことが必須課題の日本社会、豆腐メンタルで悩む人も多いだろう。もう周りに振り回されたくないと思ったときは、ぜひ読んでみてほしい一冊だ。