自分が嫌いな人に読んでほしい。リズ・ブルボー著「五つの傷~心の痛みをとりのぞき本当の自分になるために~」感想

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カナダで評判のセラピー本、リズ・ブルボー著「五つの傷」を読んだので感想を紹介したい。

ジャンル的には自己啓発系で、半分くらいスピリチュアル要素も入っている。これまでアダルト・チルドレンやトラウマ関連の本を何冊か読んできたが、魂レベルの話が出てきたのはこの本が始めてだ。

最初は「なんか怪しい」と思ったのだが、いざ読んでみると「なるほど」と思わせる部分もある。とくに「自分が嫌い」「家族・恋人とうまくいかない」という人ほど読んでほしい本だ。

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心の傷は5種類に分かれる

著者のリズ・ブルボーさんによれば、人は心に何かしらの傷を持っているという。

心の傷は、「拒絶」「見捨て」「侮辱」「裏切り」「不正」の5つに分かれる。これらの傷は、親との関係で作られるものだ。

それぞれの特徴はこんな感じ↓

・「拒絶」による傷→同性の親から受け入れられなかった

・「見捨て」による傷→異性の親から放っておかれた(見捨てられた)

・「侮辱」による傷→主に母親からバカにされた(貶められた)

・「裏切り」による傷→異性の親が期待に応えてくれなかった

・「不正」による傷→同性の親から評価されなかった

興味深いのは、それぞれの傷について「同性の親が原因」「異性の親が原因」とハッキリ分けていることだ。自分と親の関係を振り返ってみて、どちらの親とより揉めていたかで傷がどんなものか分かってくる。たとえ一人親でも、いない方の親をどう思っているかで傷のありなしが分かるんじゃなかろうか。

本の中では、5つの傷について5章に分けて詳しく説明している。それぞれの章を読み進めると、どれか1つは「自分ってこの傷を持ってるんじゃ?」と思うものに突き当たるはずだ。

傷を守るために仮面をつける

傷を負ったとき、人はそれを保護しようとする。心の傷についても、それを守るために「仮面」を作り出すんだという。

それぞれの傷に対応する仮面はこちら↓

・拒絶→「逃避」の仮面

・見捨て→「依存」の仮面

・侮辱→「マゾヒスト」の仮面

・裏切り→「操作」の仮面

・不正→「頑固」の仮面

また、それぞれの仮面は心の傷が開きそうになったときの振る舞いを表している↓

・逃避→自分を苦しめる環境から逃げ出す

・依存→周りの関心を引こうとする

・マゾヒスト→自分を放ったらかしで他人の面倒ばかりみる

・操作→他人をコントロールしようとする

・頑固→完璧に振る舞おうとする

こうしてみると、「自分ってこういうところあるよな」と思う項目もある。むしろ自分より、周りの人に思い当たる点の方が多いかもしれない。自分の仮面よりも他人の仮面の方が分かりやすいからだ。

仮面は私たちの考え方や振る舞いに影響を与え、ときには人間関係のトラブルを引き起こす。子供の頃は傷を守るために機能していた面もあるが、大人になった今ではかえってマイナスとなるものだ。

心の傷を見分ける方法

AC(アダルト・チルドレン)などのトラウマ持ちがこういう本を読むと、どれもが自分に当てはまるようで混乱することも多い。リズさんは傷を知る手がかりとして、自分の体格チェックを勧めている。ここも、トラウマ系の本にはない斬新な点だ。

「身体付きと心の傷となんの関係があるんだ」と思ってしまうが、リズさんいわく「身体はとても高い知性を持っている」のだという。身体は、自分がどう傷ついているかを知らせてくれているのだ。

それぞれの体格の特徴から、自分の持つ傷が分かる。詳しくは本を読んでもらうのが一番分かりやすいのだが、「なんで私のことが分かるの?」と思うような点もあって侮れない。

ちなみに私の場合、一番ピンと来たのは「不正」による傷だ。

性格の特徴もそうだが、体格や身体に起きやすい症状が多く当てはまっていた。「腕組みが多い」「顎を噛み締めている」「肩が凝りやすい」「便秘気味」など、私の長年の癖や悩みどころをピタリと言い当てている。中肉中背でバランスがとれているというのも、分かる気がする。

さらには「塩辛いものが好き」「カリカリした固いものが好き」「食欲をコントロールしがち」など、食生活のことまで当てはまっていた。心の傷はそんなところにまで影響するのだ。

いくつかの傷を抱えている人も、それぞれの特徴を身体に備えているという。上半身が「拒絶」の体格、下半身が「不正」の体格といった具合だ。

素人が完璧に見分けるのは難しいが、一番大きな傷を見分けるくらいはできるかと思う。

本はこちら↓

傷を癒やさないとどうなる?

これらの傷は親との関係で作られるものだが、親は「傷の存在に気づかせるきっかけ」に過ぎないという。その傷は今の自分が生まれる前、過去世で負ったものなのだ。

今こうして生まれてきたのには、過去世からの傷を癒やす目的があるという。癒やすことができなかった場合、次の人生でも同じ傷を抱えることになる。また同じような親の元に生まれ、同じように傷が開くのだ。

今の人生で抱えるトラブルもそうだ。傷を隠すための仮面を付け続ける限り、どこへ行っても同じようなトラブルで悩むハメになる。

傷を癒やすには?

ならば、傷を癒やすにはどうすればいいのか?リズさんは、以下の4つのステップを踏むことで傷は癒やされると言っている↓

1.自分が仮面を付けていること(心に傷があること)を認める

2.自分が傷によって苦しんだ事実を認める

3.心の傷を再体験する

4.自分のやったことや、親のやったことを認めて思いやる

この4つを経ることで、人はそのままの自分を受け入れることができるという。そこでようやく仮面が要らなくなり、本当の自分らしさを取り戻せる。

1つ目の「仮面を認める」のは、他人への振る舞いや自分の中の思い込みに気付くということだ。その裏には触れられたくない傷が隠されている。

だが自分で自分の仮面に気付くのは難しいので、周りの人に聞く・本を読んで身体の特徴を知るなどの対策をリズさんは勧めている。世の中をみると、この第一段階で止まっている人がほとんどなんじゃないかとも思う。

2つ目の「苦しんだ事実を認める」というのは、「自分は仮面によってこういうことをやってしまった」という事実を認めること。自分の中にある問題を認めることだろうか。

自分に起こった出来事は自分の仮面が引き起こしたことで、親の責任ではないと認めることでもある。リズさんはこの段階で、抵抗を感じる人が多いはずだと言っている。親のせいだと思っていたことを自分で引き受けるのは腹が立つし、できればやりたくないことだ。

次の「傷の再体験」は、自分が封印した苦しみを改めて感じなおすことかと思う。「こういうことをされて辛かった」「こう言われて悲しかった」など、トラウマに向き合うことだ。

だがトラウマが深ければ深いほど、それを再体験するのには大きな抵抗を感じるものだ。リズさんは「傷の深さや自分の受け入れ態勢に応じて、抵抗の度合いも異なる」と言っている。焦りは禁物だ。

最後の4段階「自分を思いやる」とは、自分がこれまでしでかしたことを認めたうえで、「自分を責めない」ということ。自分の仮面が引き起こした結果を、丸ごと自分の責任として引き受けることだ。

これは、自分がされたくないことを他人にしてしまったとき、自分を責めないことだ。「仮面を付けた自分」「自分の中にある弱さ」を認めることでもある。これを「自己責任の原則」と呼ぶのだという。

私の場合「ヒステリーで当たり散らす」というのが、心の傷に対する防御反応(仮面)のように思う。どうでもいいようなことで怒るたび、自己嫌悪してしまう。

まずは自分が怒りを感じたとき、どう苦しみを感じているか心にフォーカスしてみることにした。おそらくは「完璧にできなかった自分」「結果を出せなかった自分」に嫌気がさしているんだろう。

その次の「自分を責めない」「自分を受け入れる」というのは、まだピンとこない感覚だ。とりあえずは自分の心にいるインナーチャイルドに、「傷ついてるんだからしょうがねえよな」「でももう怒らなくていいんだよ」と言っている場面をイメージしている。

これまでトラウマ系の本を読んだり発達障害について調べてきたが、自分がどんな問題を抱えているのかイマイチつかめなかった。この「五つの傷」は、自分がどういう傷を持っていて、それを守ろうとどういう振る舞いを身につけるのか分かりやすく書かれている。

魂や前世の話などスピリチュアル要素があるので、抵抗を感じる人も多いだろう。が、そういう点を差し引いても読んでみてほしい本だと思った。

色々と分かったようなことも延々と言ってきたが、正直分かってない部分の方が多い。自分の心のなかにあるものを感じることほど、私にとって難しいことはないからだ。

が、だからと言って傷を放ったらかしにするのももう嫌だ。諦めずにしつこく取り組んでいこう。

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Posted by yayoi