東京都の「結婚に向けた気運醸成のための動画」を観て、若者が結婚しない理由と対策を考えてみた

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東京都が2020年のオリンピック・パラリンピックに絡めて、「結婚に向けた気運醸成のための動画」をアップした。が、結婚感の押し付けなど、早速ツッコミや文句が出ているようだ。

実際に動画を観たが、これで結婚率が上がる可能性は低いと思う。本当に結婚率を上げたいなら、若者が結婚しない理由から対策を立てるが筋ではあるまいか。

現在の私は神奈川県民なので関係はないのだが、いちおう元都民として結婚への対策などを考えてみた。

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東京都が動画を作成

まず、問題の動画がこちら↓

動画自体は1分の、とてもシンプルなものだ。動画の最後、小池都知事も声のみ出演している。

この動画に対しては、

・都の押し付け

・効果が低そう

・税金の無駄遣い

などの批判が出ている。

30代独身の私もこれを観て、正直結婚したいという気は起こらなかった。「オリンピックは家族と観ます」で終わりである。

動画に対するツッコミ

そのほか動画のなかで、ちょっと無責任じゃないかと思うところなどもチラホラあった。以下、そのあたりにツッコミを入れてみたい。

なぜお金がないのに結婚するのか?

まずは男性側の友人が、「お金がないが口ぐせだった友人が入籍した」というもの。これは考えようによっては、お金がなくても結婚しようと東京都が勧めているともとれる。

しかし実際問題、結婚生活にはお金がかかるものだ。お金がなくて結婚できない人も多いことを考えると、無責任じゃないのか。

実際この友人にお金がなかったとして、なぜ入籍を決めたのか?私個人としては、相手が妊娠してしまったのが理由じゃないかと思っている。

少なくとも私の身の回りで結婚した人たちは、大体ができちゃった婚であった。今どき、そういうきっかけでもないと結婚に踏み切らないのだ。

こちらの出生に関する統計によれば、できちゃった婚の割合はこんな感じ↓

25.3%ができちゃった婚となっている。4人に1人、少数派だがなかなか多いと思う。平成21(2008)年までのデータだが、今も同じくらいの割合じゃなかろうか。

結婚前に子供がいるとなると、さらに家計に負担がかかることは目に見えている。都は結婚の気運を高めるより、都民のお金の心配をなんとかする方が先だと思う。

なぜ結婚した友人は楽しそうなのか?

さらに気になったのが、女性側の「『一人の方が気楽』と言っていた親友も、なんだか楽しそう」という場面だ。独り身は気楽だが、結婚には結婚のよさもあるということか。

それはそれでいいが、実際に結婚を考えるとき「楽しそう」で片付ける人はいないだろう。だいたい友だちが遊びに来ているのに、殺伐とした子育てを見せる女性もいまい。

私の地域もファミリー世帯で子連れのお母さんが多いが、正直楽しそうな人はほとんどいない。皆、子供を叱りつけてイライラしている。本当に子育ては苦労が多いんだなと実感しきりだ。

こちらの「人口減少社会に関する意識調査」でも、子育てで悩む人が多いと分かる↓

悩みがある人を合わせると、72.4%にもなる。おおいに納得である。

さらに悩みの内容は、

・子育ての出費がかさむ…46.2%

・将来予想される子どもにかかる経済的負担…40.8%

・子供が病気のとき…33.3%

・自分の自由な時間が持てない…30.1%

・子育てによる精神的疲れが大きい…27.8%

となっている。

確かに子育ての喜びはあると思うのだが、お金の心配や日ごろのストレスなど、大変な面があることも事実だ。そういうところを見ずに、いいイメージだけを切り取るのはどうなのか。

2020年までに結婚できるか?

また、この動画は2020年のオリンピック・パラリンピックを目指したものだ。大会まであと2年と半年しかないのだが、それまでに相手を見つけて結婚まで進めるのは、なかなかのハードスケジュールじゃなかろうか。

人口問題研究所の「第15回出生動向基本調査」によれば、付き合ってから結婚するまでの平均年数はこうなっている↓

トータルで4.26年、都が考える期間よりも長い。さらに恋愛結婚だけ見れば、4.55年だ。

平均年数から考えると、オリンピックまでに結婚できそうな人はすでに交際2年以上のカップルということになりそうだ。この時点でかなりの数が振り落とされるだろう。

恋人と結婚しようか迷っている男女には、もしかしたら動画はいいきっかけになるかもしれない。しかし交際相手すらいない男女にも発信しているメッセージだとすると、見積もりが甘すぎる。

動画のPRに3,000万円!

東京都はこの動画をyoutubeにアップするのみならず、街中の大型モニターなどでも広くPRするつもりだという。そのための費用、実に3,000万円だ。

こんな動画の宣伝に3,000万円など、都民が知ったらどう思うだろう。無駄遣いと言われるのは目に見えている。

そんなPRにお金を使わずとも、今はSNSで皆が拡散してくれる。インフルエンサーにお金を払って広めてもらった方が、まだ安く済む気がする。それとも、個人に税金を払うのはダメだろうか。

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どうすれば若者は結婚するのか?

色々な面からみても、この動画で東京都の結婚率が上がるとは考えにくい。ならばどうすれば、結婚率をあげられるのか?

自治体が出会いの場を提供する

結婚といっても、まず相手がいないと始まらない。都がみずから出会いの場を提供するのが一番てっとり早そうだ。

結婚しない若者は増えているが、機会があれば結婚したいと思っている人は多い。ただ、いい相手が見つからないのだ。

こちらの調査でも、結婚しない理由として「適当な相手にめぐり合わないから」が一番多いという↓

・全体では、「適当な相手にめぐり合わないから」が 54.3%と最も高い。

「結婚・家族形成に関する意識調査」

半数以上の人が、結婚はしたいが相手がいないと思っているのだ。

ちなみに30代だけに限ると、

・男性…70.1%

・女性…68.9%

となっている。よほどきっかけがないんだろう。

よけいなお世話なとも思われそうだが、ただ待っていても結婚相手とは巡り会えないものだ。都民に結婚してほしいなら、都も少しは手伝ってもいいだろう。

(「都庁からの脱出×街コン」「東京駅からの脱出×街コン」など面白そうだ)

ついでに参加する条件として、独身証明書を必須にした方がいいと思う。街コンに行ったものの、既婚者ばかりだったというのはよくある話だ。

賃金の底上げをする

さらに結婚できない理由で見逃せないのは、やはりお金の問題だろう。前の調査でも、お金がらみの悩みは実に多かった↓

・結婚後の生活資⾦が足りないと思うから…26.9%

・雇用が安定していないから…17.4%

・結婚資金が足りないから…18.5%

結婚自体のお金もそうだが、結婚した後もお金がかかる。結婚にむけてPRするなら、まず賃金増やせと思った都民は多いんじゃなかろうか。

さらに結婚してもいいと思える年収の平均は、

・全体では、平均 490.3 万円

「結婚・家族形成に関する意識調査」

とのことだ。

しかし都の世帯の半数以上は、年収が500万円以下だという。2人以上の世帯もいっしょくただが、単身者でも490万円の年収がある人はどれだけいるんだろうか。

まずは今の年収と理想の年収との差を埋めないと、結婚する気など起きないんじゃないか。賃上げは、皆の切なる願いだ。

結婚・出産への助成金を増やす

結婚した後もお金がかかるから、このあたりの助成も増やしたい。とくに出産→子育ての助成は、喜ぶ人が多そうだ。

結婚は個人の自由という考えがあるから、結婚そのものを税金で助成するのは問題かもしれない。かといって、自由にまかせていても結婚率はあがらない。

よく地方だと、結婚世帯の移住を助成してくれる制度があったりもする。こういうところと手を組んで、結婚を勧めるのもありかもしれない。

「婚外子」も視野に入れる?

都が結婚率を上げたいのは、その先にある出生率を上げたいからだと思う。ならば結婚率を上げるよりも、婚外子をもっと育てやすい環境にする方がてっとり早いかもしれない。

日本の子供は90%以上が結婚した親の子供だが、海外では事実婚の世帯も多い。

こちらの「結婚に関する意識調査」によると、国ごとの婚外子の割合はこんな感じ↓

ヨーロッパの方は、比較的に事実婚が多いらしい。スウェーデンにいたっては、2008年の時点で54.7%だ。

結婚してから子供を産むかどうかはお国柄もあるだろうから、話は簡単じゃないだろう。が、事実婚やシングル世帯でも子育てしやすいなら、子供がほしい人も増えるんじゃないのか。

しかし子育ての環境を考えると、保育園の問題1つとっても日本は遅れている。結婚だけに限らず、出産・子育てまでトータルで対策しないと本当の解決とは言えなそうだ。

結婚の気運を高めたいなら、動画を作る前にやることが色々あるんじゃないのか。派手なPRよりも、地道な政策の方が庶民のためになる。

オリンピックを誰と観るかというのは、3,000万円もかけて宣伝するほどのものじゃない。

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Posted by yayoi