海賊版サイトを今すぐつぶせる、簡単で確実な対策
海賊版サイトの対策に、とうとう国まで乗り出した。しかし一つサイトをつぶしても、どうせ新しいサイトが無数に出てくるのでキリがない。
話題騒然となった漫画村がつぶれた直後も、今度は漫画タウンなるサイトができた。そちらのサイトも、すでにアクセスはできなくなっている。
だがサイトブロックなど大げさはことをせずとも、海賊版サイトは今すぐつぶせる。サブカルの衰退をなげくオタクの一人として、対策を真剣に考えてみよう。
コンテンツは基本無料の時代
海賊版サイトを確実につぶせる方法、それは公式みずからがコンテンツを無料開放することだ。公式が無料なら、わざわざ海賊版サイトで漫画を読むヤツもいなくなる。
こう言うと「それじゃメディアがつぶれるだろ」という大合唱が聞こえてきそうだが、今やコンテンツは基本無料の時代なのだ。コンテンツでお金を取るという考えを捨てて、基本無料でいかにもうけるか考えなきゃいけない。
渦中にいるこの人物も、ズバリそう言っている↓
もちろんコンテツのパクりはアウトなのだが、言ってることは一理ある。海賊サイトがやってることを、公式がやればいい。
思えば日本のコンテンツ無料化の歴史は、はるか昔のラジオ番組から始まっている。そこからテレビが広まって、無料コンテンツは身近なものとなった。日本ほど、無料でなんでも楽しむ国もあるまい。
だがラジオもテレビも、なんだかんだで半世紀以上続いている。それはコンテンツが無料でも、スポンサー収入でお金が入るしくみを作ったからだ。
私の大好きなゲームも、スマホで無料で楽しめる時代だ。今まで家庭用ゲーム機でがんばってきた任天堂でさえスマホゲームを配信し、無料化の流れに乗ってがんばっている。
(私もFEHを絶賛プレイ中だ)
漫画にしても今やpixivコミックなど、公のサービスから発信される無料漫画はおなじみだ。それでもうまく収益化しているワケだし、大手出版社にできないワケがない。
出版社や音楽業界など、違法アップロードに文句を言っているメディアほどもうけが減っている。それは文句ばかりいって、進んで無料化の流れに乗ろうとしないからじゃないのか。
たとえ海賊版サイトが無くなっても、メディアのしくみが古いままでは客からいずれ見捨てられる。無料化に合わせたシステムをつくれなきゃ、つぶれるのは時間の問題だろう。
違法アップロードのせいで出版社も大変な目にはあってるんだろうが、やることと言えば国に泣きつくことだけだ。そんなことをする前に、自分たちで海賊版サイトをつぶす対策をなぜやらなのか。
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付加価値で勝負する
基本無料コンテンツは広告でお金を取るのがメインだが、それだけだと心もとない。コンテンツに付加価値を付けて、うまく有料サービスに誘導するのがいいんじゃなかろうか。
先日海賊版サイト対策について家族と話しあったとき出てきた、有料サービスのアイデアはこんな感じ↓
・1~2週間先の早売り雑誌を読める
・有料限定スピンオフコンテンツの配信
・漫画家のサイン会への参加権
・漫画家の原稿執筆のライブストリーミング配信
・現役作家による漫画家志望者向けの限定セミナー
・イベントチケットなどの先行抽選・販売など
・ステージイベントでアリーナ席の確保
素人が思いつくだけでも、有料化の方法は色々ある。頭のいい専門家なら、もっと斬新なアイデアがありそうだ。
限定イベントなどは、基本の有料サービスとは別に有料チケットを売ってもいいかもしれない。ファンとの交流で、漫画家にお金が入るしくみのためだ。
コミックも基本は無料にして、有料版はページ増やボイス付きコンテンツなどのオマケを付けてみる。紙のコミックでも、通常版と限定版の同時売りはもはや当たり前だ。
大手出版社のブランド力があれば、客はいくらでも集まるだろう。なんなら出版社同士が手を組んで、一つの大きなサービスを作ってもいいかもしれない。
漫画に限らず、音楽や映画も同じような手で収益化ができそうだ。大多数の人は無料で利用するだろうが、有料でも楽しみたいという客はかならず一定数いるのだ。
無料客を満足させつつ有料客をいかに優遇するかが、基本無料コンテンツの肝じゃなかろうか。基本無料のコンテンツにどんな付加価値を付けるかが勝負だ。
ただし課題は多い
とはいえ、これを実現するには課題も多い。無料配信するときの著作権者への許可だけ考えても、とてつもなく面倒くさいやり取りがいるだろう。
ライバル同士で手を組めばいいともいったが、古い体質の出版社が今さら協力できるかどうかもあやしい。とくに大手ほど、変なプライドがあって歩み寄れなさそうだ。
だが出版社がやらないなら、個人レベルで発信して収益化する手もある。ネットの時代は、人を集める工夫といいコンテンツをつくる力があれば個人単位でもやっていけるだろう。
有料コンテンツは無くなるか?
無料コンテンツが主流になったら、有料コンテンツは無くなってしまうのか?もちろんそんなことはないだろう。
今でもWOWOWやスカパー!、Amazonプライムなど、有料コンテンツ市場は健在だ。無料じゃできない挑戦的なドラマや、有料だけの限定作品を作ったりしている。
さらにミソなのは、有料コンテンツも時間が経てば無料で楽しめるようにしているところだろう。無料で楽しむ余地も残しているから、そこから興味をもった客が有料サービスを使ってくれるんじゃなかろうか。
コピーでもうかるシステムを
海賊版サイトを批判する人たちは、話をごっちゃにしている。「違法アップロードのパクり」と「無料コンテンツ」の問題は、ほんとうなら別々に考えないといけないのだ。
もちろんパクりは犯罪だから、その対策はしっかりやらなきゃいけない。一番まずいのはパクったヤツだけお金をもうけて、コンテンツを作った人には一銭も入らないことだろう。
だからパクられた方にもお金が入るようなしくみがあれば、パクり問題も一気に解決するだろうと思う。パクるならパクるで、それなりのインセンティブを払ってもらいたいところだ。
一時叩かれまくったneverまとめも、「一次コンテンツ制作者にもインセンティブが入るしくみの導入を検討する」みたいなことを言っていた。結局そのあと一年以上経ってもなんの音沙汰もないが、このシステムは絶対に実現させてほしいものだ。
neverまとめがやらないなら、いっそコンテンツが集まっているGoogleにそういうしくみを作ってもらいたい。コンテンツをあらかじめ登録しておいて、コピーされたらインセンティブが入るシステムなどは作れたりしないんだろうか。
本当ならパクったヤツが払うのがスジなんだろうが、それでは今までと同じだ。基本は無料でパクれるようにして、広告を出しているスポンサーにお金を出させるがいいだろうか。
AdSense自体にパクり検知機能でもつけて、パクられたコンテンツの量に応じてオリジナルの方の収益にするシステムでもつくれないだろうか。パクった記事の収益から、何%かを差っ引ければいいかと思う。
(私のサイトもいらすとやさんなど画像サイトのお世話になっているから、その分収益から差し引かれるかもしれない)
実現するのはかなり難しいだろうが、誰もが納得するシムテムを作らなきゃパクり問題はなくならない。パクり前提のシステムは、今の時代に必要なものじゃなかろうか。
時代の波にのれないメディアは消える。ほんとうに作家の利益を守りたいなら、自分たちも基本無料の流れのなかでいかにお金を取るか真剣に考えるべきじゃないのか。
文句ばかり言って何もしないのは、メディアの怠慢だ。海賊版サイトをたたくだけじゃなく、自分たちもこれまでの体制を変えなきゃいけないときだ。