自炊史上、最高にミステリーなハンバーグ(?)の話。~実録・一人暮らしの節約料理(5)~
一人暮らしを始めてからというもの、未だまともな料理ができた試しはほとんどありません。今回は私の自炊史上、とてつもなくミステリーなハンバーグができあがった話です。
当初の予定はメンチカツだった
最初はそもそも、ハンバーグではなく「メンチカツ」を作るつもりだったのです。「ひき肉と野菜、その他もろもろを混ぜあわせればどうにかできるのでは?」との、実に単ちょくな発想でした。
こう考えたことがその後、あらぬ方向へ料理を導くなどとは……。当時の私は、知るよしもありませんでした。
揚げものを作るのは良いが……
我が家にある調理器具は、フライパン1つのみ。この時点でハードルが上がります。
それでも100歩譲って、フライパンだけで揚げものを作るというのはまだ良いと思います。真の問題は、そこではありませんでした。
そもそも、揚げものを作るのに必要な「パン粉」がない。そして今回、パン粉を買い足す予定もない。
これで「揚げものを作ろう!」などと意気込んでいるのだから、その時点でどうかしています。それでも私なりに考え、パン粉代わりの材料は調達してはきました。
お菓子などで、よく使われる薄力粉。天ぷらなどの衣は薄力粉で作られることから「これ1つあれば、揚げものいけるのと違う?」と、私は調子づいてしまったのです。
調理開始
夜も大分おしてきていたので、速やかに調理を開始しました。
材料
今回使う材料は、スーパーで買ってきたもろもろの食材たちです。
・にんじん…半分
・玉ねぎ…半分
・ひき肉…150g
・卵…1個
・薄力粉…適量
・カレー粉…適量
・塩…適量
メンチカツには入れないはずの卵がある時点で、もう嫌な予感しかしてきません。当時の私は、そんなことは微塵も考えていませんでしたが……。
未だに計量カップなどがないので、粉ものや調味料などは手持ちのコップで適当に計るというアバウトな料理法。いい加減「計るもの」が欲しいとは思っていました。
材料自体はシンプルなので、この時点でおかしな料理が誕生する要素はほとんどないはず。そう楽観的に考え、調理は始まりました。
野菜を刻む
まずは、にんじん、玉ねぎをみじん切りに刻みます。相変わらず包丁の進みは遅く、なかなか刻みが終わりません。
小さなまな板で材料を刻んだら、その都度ボールに移してスペースを開けます。この作業が間に入るのも、刻みに時間がかかる原因かもしれません。
もういっそミキサー的なものでも買えば手っ取り早いのですが、私はあくまでも包丁1本にこだわる姿勢。今はかたつむりのごときスピードでも、使っていればそのうち早くなるはずです。
ついでに、多めに刻んだ野菜をストックしておきました。
このとき使ったタッパーは、母が手料理を持ってきてくれたときに置いていったものです⇒実録・一人暮らしの料理。炊飯器なしで、フライパンでご飯を炊くことに挑戦
そうしてかかった時間、ゆうに60分超。この時点で私の気力は7割削り落とされましたが、まだ調理の1段階が済んだだけ。本番はここからでした。
材料を混ぜあわせる
次に、刻んだ野菜とひき肉を混ぜあわせます。ただみじん切りの野菜の中に肉を投下してこねれば良いのですが、この時点で私は不穏な気配を感じ始めていました。
メンチカツを作るにしては、野菜の量が多すぎるんじゃあないか?
にんじん半分に玉ねぎ半分。これを刻んで見ると、意外とかさが多い。メンチカツの具材として、明らかに自己主張が過ぎました。
この時点で野菜の量を調節すれば、また違った結果になったかもしれません。しかし当時の私は、数秒考えた後に大量の野菜の中へひき肉を思い切りダイブさせました。
この料理はどこへ向かうのか?
最初に感じたとおり、野菜がとにかく多い。当然、メンチカツのタネのようにうまくまとまってくれるはずもありません。
そこで少しでもタネらしくしようと、さらに卵、薄力粉を投下。当初のメンチカツからはどんどん遠ざかり、タネ(?)の行く先は全く読めなくなりました。
ついで、味付けのカレー粉も勢い良くブレンド。かなり多くの量を入れてしまいました。これが、仕上がりにどいいう影響するのか……。
「この料理は、一体どこへ向かってるんだろう?」
作っている本人でさえ出口の読めない、混沌とした状況。材料を混ぜあわせている間、私の首は30°にかしげっぱなしでした。
とにかくこねる
引けば夕食抜き・進めばカオスの、希望の見えない調理。私にできることは、ただ一心不乱に食材をこね倒すことだけでした。
そうやって混ぜ続けていると、だんだんと粘りが出てきて少しづつ形になってきました。私はそこに一条の光を見出し、頃合いを見て次のステップに移りました。
予想外の量の多さ
当初の予定は1人分だったのに、どうにも量が多すぎるタネ。取りあえず適当な大きさに丸めてみると、丸々したタネが4つ分もできました。その中の70%は、にんじんと玉ねぎです。
いきなり4つも食べられないので、2つはタッパーに入れて冷凍保存しました。
たまたまとは言え、保存容器があって助かりました。
とにかく火を通す
もうタネの時点で、メンチカツの様相ではありません。が、私はそれでも薄力粉と水で衣っぽいものを作り、それをタネに付けました。
後は火を通しさえすれば、食べられます。私は2つのタネをフライパンに敷き、「焼き」に入りました。
タネの厚みのせいで、芯まで火が通ったのかよく分からぬ状況。その一方で、表面はどんどん焦げた増えていきます。
私は全面を黒焦げにせぬよう、まめにひっくり返したりフタをして温度を調節しながら、タネに火を通していきました。
そして味見などをしつつ、中まで火が通ったらしいと判断したところで、私の調理はゴールを迎えました。
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実食
果たして、どんな料理ができあがったのか?以下をご覧ください。
あえて名前をつけるなら「ハンバーグの形をした焼き料理」でしょうか。正当なハンバーグでも、ましてやメンチカツでもない、野菜と肉(+α)を混ぜて焼き上げた代物でした。
これは何だ?
今一度火が通っていることをチェックし、いざ実食。
これは何だ?
見ても分からないものは、口に入れても分かりませんでした。カレー粉の量が多かったのか、やたらとスパイスが効いた焼き料理に仕上がっています。
そして最初に思った通り、野菜の量が半端でない。一口ごとに、にんじんと玉ねぎが顔を出し、肉が存在をアピールする余地を与えていませんでした。
材料は至極まっとうな食材のみなので、自分1人で食べる分には味の問題はありません。家族がいなくて本当に安心しました。
やっぱり野菜が多かった
今回料理が奇妙な方向へ向かったのは、どう考えても「多すぎる野菜」のせいでした。食費の節約にと、肉をケチったことも原因かもしれません。
せめてにんじんか玉ねぎ、どちらか一方にしておけばもう少し上手にできたと思います。野菜の量を多くするなら、もう野菜炒めにするのが一番確実です。
野菜は値段も安く、食費の節約のためには欠かせません。逆に肉をメインにすると高くつくので、肉料理は「ごちそう」と位置づけた方が良いかもしれません。