金子由紀子さん「モノに振りまわされない! 片づけのコツ」感想。ズボラ流の整理術。
金子由紀子さん著「モノに振りまわされない! 片づけのコツ」の感想です。整理下手でもできる片付けのコツが、実践的に分かりやすく書かれています。
きっちり整理ができずとも、散らかったものを片付ける力があれば良い。この金子さんの考えは、ものの管理が苦手なズボラには大きな希望だと感じます。
片付けは実践ありき
この本のなかには、自分で書き込めるワークシートがあります。「どんなところから散らかるのか」「どこからなら片付けられるか」そんなことを書きながら、実践的に進められます。
片付け本を読んでも部屋がきれいにならない。それは、ノウハウだけを頭に詰め込んで満足してしまうからだと思います。
まずはノウハウを自分でもやらないことには、部屋は片付きません。その点ワークシート形式は、実践に大切な「自分の頭で考える」ことが自然とできるのが良い点です。
金子さんは本のなかで「片付けは身体に覚えこませるもの」と言っています。「学ぶ→考える→動く」のステップで、片付けを少しづつ身につけられるのではないでしょうか。
整理できなくても片付ければ良い
こんまりさんの本などもそうですが、「片付けた後はその状態をキープ」するよう書かれています。私も、片付け後のリバウンドが一番厄介だと思っていました。
断捨離後にリバウンドするのは、ものを増やす習慣を止めていないからです⇒断捨離後にリバウンドする3つの理由とは?効果切れで汚部屋になるのは、スタートとゴールを勘違いしているから
しかし金子さんは、「散らかっても片付ければ良い」というスタンスです。きれいな状態のキープは無理でも、片付けスキルがあれば部屋はきれいにできると言っています。
確かに部屋を片付けた後、「この状態を続けよう」というのはある種プレッシャーかもしれません。そんなとき「散らかっても良いんだよ」と思えたら、気楽にものと付き合えそうとも思いました。
私の部屋も、ゴミ箱のゴミやら每日の新聞やら、どんどんものが溜まっていきます。しかし溜まっても、その度に捨てれば散らかりません。
当たり前といえば当たり前なのですが、「日々の片付け」の繰り返しで部屋のきれいはキープできているのだと実感します。身体の新陳代謝と同じで、暮らしがある限り片付けもなくならないのだと思います。
自分にできるところから
断捨離は、自分にできそうなところから始めるのが挫折しないコツです。金子さんも、片付けのハードルを下げるコツを「行動」と「心」の両面から紹介してくれています。
作業を細かく分ける
頭の良い人は、「難しいことを簡単なことに分解する能力」が優れた人だと聞いたことがあります。どんな大問題も、小さな単位に分ければ取りかかりやすくできるのです。
断捨離も同じで、単に「部屋を片付けよう」だとどこから手を付けて良いか分かりません。ものごと、場所ごとに分けていきましょうというのは、良く言われるアドバイスです。
キッチン1つにしても、「シンクを拭く」「コンロを拭く」「食器を洗う」など、1つ1つは単純作業です。やることが分かれば、後は身体を動かすだけなので楽です。
仕事や勉強も、最初に段取りを決めると考える時間が減って効率的です⇒勉強や仕事の効率化にもなる、暮らしにルーティンワークを取り入れるメリットとは。
3mのハードルを超えるのは無理でも、1mのハードルを3回ならできます。片付けも、自分にできそうなところまで分けるのが嫌にならない秘訣ではないでしょうか。
変えられるものと変えられないもの
断捨離で心理的にしんどいのは、「変えられるものと変えられないものがごっちゃになっているから」と金子さんは言います。変えられないものを変えようとするから、問題がややこしくなるのです。
部屋や収納スペースの大きさは変えられなくても、ものの数自体は減らせます。収納場所を取り出しやすい位置に変えたり、見やすく分けることもできます。
我が家の場合、部屋の広さは変えられずとも、家具を少なくすることで掃除を楽にするという手を使っています。自分に動かせそうなものが分かると、片付けももっと楽になるのではないでしょうか。
本のワークシートには、「変えられるもの・変えられないもの」を書くページもあります。ここを取っかかりに「じゃあどうすれば?」と考えるのが良いのではと思います。
手ぶらで戻るな
この言葉は、かつて金子さんがファミレスのバイト時代に注意されたことだそうです。フロアに出たら注文を聞くついでに、テーブルを拭いたり食器を下げたりを同時にやるということです。
私もシングルタスク脳で、1つの動作で1つのことしかやりません。なので、あっちとこっちを何度も往復ということが良くあります。
しかしインスタントみそ汁のお湯のついでに、自分が飲むお白湯も沸かせば、その分作業が減ります。ちょっとトイレに立つついでに床のゴミを拾って、ゴミ箱に捨てることもできるのです。
これはかなり単純な例ですが、やりようによってはもっと応用できると思います。私も「手ぶらで戻らない」ことを意識して、「ほかにできそうなことは?」と目を光らせるようになりました。
自身も片付け下手だという金子さんの本は、とても分かりやすく「自分にもできそう」と思えてきます。ワークシートを埋めながら本を読み終える頃には、片付けがちゃんと身につくのではないでしょうか。
片付け本ノウハウは、実践とセットで始めて活かされます。最初は本のなかのどれか1つでも良いので、自分で試すことが大切かと思います。