働けない、働きたくない発達障害は、無理に仕事しなくていいんじゃない?

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発達障害や精神障害者のなかには、がんばっても働けないという人が少なからずいる。また、そもそも働きたくないという人もいるかと思う。

そういう人に対し「あなたにあった仕事を見つけよう」「働こうと思えば働ける」という声もあるが、仕事というのはそこまでしてやるものなのか。働くことが難しいなら、無理して働かなくてもいいんじゃないかと思う。

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支援にもお金がかかる

今は働けない発達障害者のための支援も増えてきている。だが支援には、それなりのコストがかかるのも無視できない。

アメリカでは、ASD(自閉症スペクトラム)の人を支援するのにどれくらいお金がかかるか調査した論文がある。それによれば、発達障害者を一生支援するために必要な平均コストはこうなった↓

・知的障害あり…240万ドル(約2億5,500万円)

・知的障害なし…140万ドル(約1億5,000万円)

知的障害なしでも、平均で1億5,000万円かかるというのだ。障害の重さによってバラつきがあるだろうが、1億を下回るということはないだろう。

ちなみに18歳以上の発達障害者を支援するための年間コストの平均は、

・知的障害あり…8,8026ドル(約937万円)

・知的障害なし…50,319ドル(約536万円)

少なめに見積もっても、1人500万円といったところか。

厚生労働省の統計によると、発達障害などで通院・入院している患者は19.5万人だという。自覚がない発達障害者も含め、この3~4倍は発達障害者がいると考えると約60~80万人だ。

1人あたり500万と考えると、1年間にかかるコストは

60万×500万=3兆

となる。通院・入院している19万人にしぼっても、1兆ちかくかかる計算だ。

発達障害をしっかり支援するにはこれだけお金がかかるが、毎年この大金をどうやって用意するのか。発達障害者が社会で自立するのは楽ではない。

むりやり働かせるリスク

もちろん発達障害者のなかにも、いい仕事を見つけて働いている人はいる。だが100人が100人、いきいき働いているわけじゃない。むしろ自分をごまかしごまかし、無理に働いている人の方が多いと思う。

無理して働けば、その分は本人の心や身体に返ってくる。うつ病などにかかってしまうと、治療費にまたお金がかかる。

慶應義塾などの研究者が調べたデータによると、うつ病の治療や自殺など、もろもろにかかるコストは年間で3兆900億5,000万円だという。

さらに厚生労働省の統計によれば、日本の20歳以上の精神障害者数は392万2,000人となっている。すると1人あたりのコストは99万4518円、約100万円

頑張って仕事ができるようになっても、もしうつ病にかかれば年間100万円。発達障害で悩む本人に限らず、これは社会にとっても損な話じゃなかろうか。

仕事のトラブルにかぎらず、発達障害の二次障害でうつ病にかかる人も多い。社会に馴染もうとがんばって、馴染めないことが大きな原因じゃないかと私は思う。

支援にもお金が必要なうえ、社会に出てもうつになったらまたコストがかかる。こういうことを考えると、発達障害で働く気がうすい人を支援する意味はどこまであるのか疑問だ。

発達障害者への理解が広がっているとはいえ、ほとんどの企業は扱いに困っているだろう。そういう人を働かせて、定型発達の人たちがイライラしているケースも多そうだ。お互いに不幸である。

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発達障害が稼ぐ収入

発達障害者が仕事をみつけても、まともに暮らせる給料を稼ぐのは難しい。内閣府のデータによれば、障害者枠で働く精神障害者の賃金の平均は12.9万円とのことだ。年収にして156万円、貧困層ギリギリの額だ。

貧困の話はこちらでも⇒お金で幸せは買える。貧乏でも幸せという人は、本当の貧困を体験したことがあるか?

日本の生活保護は、1人世帯で10~14万円はもらえる。へたをすると、発達障害者は仕事をしても生活保護以下の賃金しかもらえない可能性があるのだ。こんなに哀しい話があるだろうか。

前に言った発達障害の支援にかかるコスト500万円と比べると、その差は約344万円。発達障害が働く経済的効果を考えても、赤字になる可能性の方が高いんじゃないのか。

発達障害でも働く気があるなら、もっとお金を稼げるかもしれない。だが暮らしのためにいやいや働く人は、150万円以上稼げる見込みは低いだろう。

たまに優れた能力があって、それを活かして活躍できる人もいるっちゃいる。だがそう都合よく、天才的なスキルを持っている発達障害者はほとんどいない。

むしろそういう人と自分を比べて、自分にはできないとよけいに落ち込むパターンの方が多い。正直、一緒にするのはやめた方がいいと思う。精神を病む人が増えかねない。

大人がギリギリ暮らせるお金

働く気がない発達障害者をむりに働かせても、よけいに社会のお荷物になりかねない。いっそ社会に出なくても済むよう、最低限の生活費を保証した方がトータルで安く済むんじゃなかろうか。

とりあえず生活保護をモデルに考えると、1人世帯に必要な生活費は「7~8万円+家賃」だ。家賃が6万円とすると13~14万円、年間で156~168万円で済む。

ちなみにギリギリまで節約すれば、月10万で暮らすのも夢じゃない。詳しくはこちら⇒年収200万あれば超余裕。一人暮らしが生活費10万で生きる方法。

年間500万円をかけて支援するよりは、170万円足らずの最低生活費でひっそり暮らしてもらった方がお互い楽じゃなかろうか。なんでも支援すればいいってもんじゃない。

こんなことを言うと、働く気がない人に生活保護なんてとんでもないと非難轟々だろう。しかし無理にお荷物になりかねない人を働かせて結果的に迷惑をこうむるのは、そうやって批判する人たちじゃなかろうか。

発達障害者が増えて支援のコストがかさんだら、税金も高くなる。それはそれで、文句が殺到しそうだ。

気持ち的に甘えだと言いたくなるのは分かるが、その前に現実的なお金の問題も考えてみた方がいい。

発達障害でも、働きたい人は働けばいいと思う。だが発達障害者全員が、支援して仕事させるのが正しいことかは分からない。

いくら頑張っても、社会のなかでまともに仕事できない人は一定数いる。そういう人は、無理に働くことはないんじゃなかろうか。

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Posted by yayoi