独身税って何?「一人暮らし=独身貴族」は時代遅れですよ。

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石川県のとある自治体で、「独身税」なるものが話題にあがっている。このワードを見たとき、思わず「ウソやろ」とツッコんでしまった。

どうもその裏には「一人暮らし=余裕がある」との考えがあるようだが、それは全くの見当違いというものだ。独身貴族など、もはやほとんどいないんじゃなかろうか。

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独り身=金持ちか?

この「独身税」のアイデアは、石川県かほく市の「かほく市ママ課」から上がったものだ。独身税のニュース記事がこちら↓

ママ課は市のプロジェクトの名称で、30~40代の女性7人が参加した。メンバーが「結婚し子を育てると生活水準が下がる。独身者に負担をお願いできないか」と質問したのに対し、阿久澤氏は「確かに独身税の議論はあるが、進んでいない」と述べた。

かほく市ママ課「独身税」提案 財務省主計官と懇談 – 経済ニュース | 北國新聞社

独身の人たちに負担してもらいたいというお母さん方の意見もスゴいが、実際に市の役人が「独身税の議論がある」と言っているのが衝撃だ。

全く知らなかったが、「独身税」「子無し税」などの話は、少子化対策のひとつとして話題に上がることがあるらしい。日本は罰金的なことまでして、子供を増やさないとやっていけないのか。

お母さん方の話は、「子供がいると生活が苦しい。余裕のある独り身に負担してほしい」ということか。社会全体で子育てするということを考えると、果てはそういうところに行きついてしまうのか。

しかしそもそも、「独り身=金持ち」という考えが間違っている。確かに独り身セレブもいるかもしれないが、そういう人はごく一部だ。

マジメに働いていても、月20万円以下の収入しか得られないというのは今の世の中ザラ。月15万円で暮らすとして、さらに税金がかかったら貯金も出来ない。老後はどうすればいいのか。

さらに奨学金で、借金まみれの人間もいる。詳しくはこちら⇒奨学金の返済額、約150万。この借金をどう返すか考えてみた。

単純に独り身にお金を出してもらおうという人は、もっと独身世帯の実情を知ってもらいたい。はたから見れば気楽に見える部分もあるのかもしれないが、ギリギリの生活で苦しい思いをしている人もたくさんいる。

子供いない税

また揚げ足を取るなら、独身税では無く「子供いない税」の方が適当なんじゃなかろうか。

独身税だと、結婚してないシングル親世帯も税金がかかってしまうんじゃないのか。ひとり親の家はただでさえ貧困率が高いのに、課税で余計に苦しめてどうするのか。

さらに今増えている、独り身の年金世帯にも課税をする気なのか。年金でカツカツの暮らしをしている人も多いから、これが実現したらシニアの暴動が起きるかもしれない。

それだけじゃなく、同性カップルの問題もある。子供がいない同性カップルも、独身とみなされるのか。

独身税にしろ子無し税にしろ、素人目にみても穴が多すぎると思う。

貧乏だから結婚できない

さらに進んで独り身を続ける人だけでなく、結婚したいのに出来ないという人たちもいる。経済的な事情で、籍を入れられないというカップルのことはちゃんと考えているのか。

色々な勢いで結婚してしまった人たちも多いなか、ちゃんと暮らしのことを考えて結婚しようかどうか考えているカップルはまっとうなんじゃないかと思う。そういう人たちに、負担を強いるのは酷な気がする。

過去にもあった「独身税」

色々と問題がありそうな独身税だが、昔本当に取っていた国がある。独身税を取り入れた結果を、ご覧いただきたい。

ブルガリアの独身税

かつてブルガリアでは、働く手を増やす目的で独身税が作られた。1968~1989年と、意外と長い間続いていたのが驚きだ。しかも20世紀末の話である。

そして、結果はどうなったか?独身税を取り入れる前と後の出生率の変化がこちら↓

・2.18%→1.86%

なんと、少子化がますます酷くなってしまったのだ。結果、独身税は20年あまりで無くなった。

なんでこんなことになったかと言えば、結婚したくても出来ない人が増えてしまったからだ。

ブルガリアの独身税は、収入の5~10%という超・高税率だった。これでは、いくら結婚の資金を貯めても税金で持っていかれてしまう。ますます結婚できないの悪循環にハマり、貧乏で結婚できない人が一番のワリを食わされたのだ。

ブルガリアの歴史をみても、独身税の結果はお察しじゃなかろうか。

ルーマニアが子供を強制的に増やした結果

さらに、「半強制的に子供を増やす」という考え方にも大きな問題がある。一番ひどい例が、昔ルーマニアにあった政策だ。

ルーマニアが独裁政権だった頃、「女性は子供を5人以上産む」ことが義務づけられた。さらに中絶も禁止して、人口を増やそうとしたのだ。

結果、多過ぎる出産で命を落とすお母さんが増え、ストリートチルドレンが大量に生まれることになった。さらに栄養失調の子供への輸血で注射を回し打ちし、エイズが広まることにもなったのだ。

もちろん、今の日本と外国の独裁政権を比べるのはかなり無理がある。が、子供を強制的に増やすのが良い結果にならないのは事実だ。

仮に子なし税を作ったとしたら、今度は子供が欲しくても出来ない世帯が増えることになるんじゃなかろうか。

万が一「独身税」が作られたら

それでも万が一独身税が作られたら、しょうがないから結婚するしかない。同じような境遇の人を見つけて、籍だけ入れる方法が大流行しそうだ。

もしくは、親元に戻って扶養家族になることか。パラサイトシングル問題も大きくなる気がする。

対策でそういう人たちの生活や出産の様子を見張るなど、色々と手間も多そうだ。せっかく独身税を取り入れても、対策の費用でかなり使ってしまうかもしれない。

国は、色々なところから税金を取るアイデアをよく思いつくもんだと思う。その知恵を、もっと国民の収入が増える方向に活かせないものか。

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Posted by yayoi