お金を使わないで暮らす、たった1つのコツとは?鶴見済著「0円で生きる」感想
人は、お金を使わないで暮らせるのか?そんなテーマに切り込んだ、鶴見済さんの「0円で生きる」を読んだので、感想を紹介したい。
本のなかでは、無料でできることが詳しく書いてある。単なる節約ノウハウ本とは違った面白さがあった。
本を読み進めるうち、お金を使わない暮らしがどういうものかも分かってくる。0円で生きるには、どうしても欠かせない大事なコツがあるのだ。
お金を使わない暮らしに注目が?
長い不景気のせいか、お金を使わない暮らしに注目が集まっているという。身近な節約術からものを持たないミニマリスト、レンタル・シェアブームなど、これまでの大量消費とは違う流れができてきている。
0円生活の静かなブームのおかげで、我がブログにまで新聞の取材がくるほどだ。詳しくはこちら⇒【驚愕】カレジョの貧乏生活が、毎日新聞に取材されました
大金を使ってぜいたくするより、自分がいいと思ったことにだけお金を使いたい。つつましくも豊かな暮らしというのが、現代人があこがれるライフスタイルなんじゃなかろうか。
0円で生きるスタイルが注目されるのも、お金のために人生を消耗したくないと思う人が増えたからだろう。私も貧乏なので分かるが、皆お金の悩みから解放されたいのだ。
0円でできることは多い
本を読んでみると、0円でできることが具体的に紹介されている。ネットさえあればすぐ試せるものが多いのも、嬉しいところだ。
そのなかで私が気になったものは、
・ジモティーの0円出品
・野菜の自家栽培
・フリマ出店
・行政サービスの使い倒し
などだ。
ジモティー→フリマの流れで商売を?
CMでおなじみのジモティーは、「タダであげます」というものが多く出品されている。難ありの不用品ばかりかと思いきや、まだ使える冷蔵庫や洗濯機なんかもちょくちょく出てくるのだ。
家電は処分するのに、お金がかかる。ならば、誰かにあげた方が安上がりだと考える人が多いんだろう。引き取りに車がいるのが難だが、家電がタダでゲットできるのは大きい。
家電に限らず、バッグや洋服、小物類も出品が多い。直接手渡しなら、交通費だけでいいものがゲットできるチャンスだ。
なかにはジモティーで引き取ったものを、さらに転売する仕事まであるらしい。転売は嫌われるが、元手がほぼ0円のいい商売だなとは思う。フリマで安く売るのもいいかもしれない。
自分で野菜は育てられる
野菜の自家栽培というのも、種がゲットできれば難しくないと思う。私も現在進行系で、水耕栽培のトマトを育てている。
ただ、水耕栽培のためにキットは買ったが……詳しくはこちら⇒室内で野菜を育てよう。水耕栽培キット・ポットランド観察記。
本の中では、育てやすい薬味やハーブがメインで紹介されていた。しそやミントは生命力が強いので、手間ひまをかけなくてもぐんぐん育つという。水耕栽培ができるなら、こちらも面白そうだ。
ベランダがあるなら鉢植えで育てる方が簡単だと思うが、虫が気になる。虫嫌いの私としては、土を水耕栽培の方が安心できる。
困ったら国に頼ろう
行政のサービスも、税金を使ってはいるが一応タダだ。私は住民税ゼロの貧乏世帯なので、本当にタダで利用していることになる。
よく使うのは、近所にある図書館だ。とくに図書のリクエストは、目当ての本が確実に読めるのでとてもありがたいサービスである。
図書館の使いたおし術はこちらで紹介中⇒節約の大きな味方。図書館を便利に使う活用術
地元の公民館でのイベントなども、ほかで場所を借りるより格安だ。場所に困ったときは、とりえあず地域の施設を使うのが鉄板らしい。
また、なにかと物議をかもす生活保護のことも書いてあった。本を書いた鶴見さんは、「生活保護は積極的に使っていい」という人だ。それ以外の求職支援給付金なども、困ったときの参考になる。
生活保護はバッシングされやすいが、働くのが難しいときに頼るのは悪いことだろうか。もらえる資格があるなら、どんどんもらえばいいと思う。
だが完全無料は難しい
しかし0円で生きるといいつつ、やっぱり完全無料は難しいんじゃないかなと感じた。前にも書いたが、車の維持費だったり交通費だったりと、インフラ面にはどうしてもお金がかかる。
ネットにしたって、携帯会社やプロパイダに通信費を払って使っているものだ。無料Wi-Fiもあるにはあるが、場所が限られるので使えない人もいるだろう。
0円でできることはたくさんあるが、完全にお金を使わない暮らしは今の社会では難しい。それこそ、昔ながらの自給自足でないと無理じゃないかという気がする。
0円で生きるコツは「コミュ力」
本の全体を読んで1つ分かったのは、「0円で生きるには高いコミュ力が必要」ということだ。
お金を使わない生活は、お金で済ませていたことを誰かに協力してもらってやることだ。鶴見さんも、「お金を使うということは人間関係の省略でもあった」といっている。
確かに本に書いてあることを見ると、
・誰かの家の空き部屋に泊まらせてもらう
・いらないものをあげる、もらう
・車などを皆で共有する
・足りないお金をカンパしてもらう
・誰かと協力してグループを立ち上げる
など、他人と関わらなければ成り立たないことが多い。
人と関わる以上、人間関係のめんどくささはどうしてもついてくる。皆そういうものを嫌がって、結局はお金で済ませることが大半なんじゃないのか。
誰かと関わるのが楽しいという人や、すぐに友だちを作れる人は、0円生活もあまり苦痛じゃないかもしれない。その高いコミュ力を活かし、色々なことができるだろう。
しかしコミュ力の高い人というのは、0円生活に限らずビジネスでも成功しやすいんじゃないかと思う。お金持ちだろうが貧乏だろうが、人とうまく付き合えないとこの社会では生きられないんだなと痛感した。
働かずに生きることは無理なのか
また0円生活というのは、自力でなんでもやることでもある。
・働く代わりに衣食住を提供してもらう
・不要になったものを拾って再利用する
・自分で野菜などを育てる
・お互いのスキルを活かしてギブ&テイク
など、お金を払う代わりに自分を労働力として使ってもらうという面が強い。
20年お金を使わずに生きているドイツのシュヴェルマーさんという人は、誰かの家にお世話になる代わりに、その家の家事手伝いをしたり家族の話し相手になったりして暮らしているという。お金は使っていないが、生活は忙しそうだ。
私もそうだが、0円生活に憧れる人のなかには「お金のことを気にせずのんびり暮らしたい」と思っている人も多いんじゃなかろうか。しかし実際は、のんびりとは180°反対の暮らしが待っているわけだ。
これを考えると、0円生活をやりきるには
・人とうまくやる高いコミュ力
・身を惜しまず働く心意気
の2つが欠かせないことになる。これはもう立派な社会人じゃなかろうか。
私のような社会不適合者は、もちろんどちらも壊滅的だ。だからこそまともに働けないし、お金にも困ることになる。
0円生活=貧乏というイメージが強かったが、むしろ社会で成功している人の方がやりやすいだろうなと感じた。
お金を使うにしても使わないにしても、何かをやるには社会とのつながることが欠かせない。今の社会で生き残れるのは、人との付き合いが上手い人たちだ。
コミュ障でお金に困っている人がこれを読んだら、よけいに落ち込むかもしれない。節約術などを期待して読む人は注意してほしい。