毒親と絶縁する方法とは?「お母さん、娘をやめていいですか?」感想。
「お母さん、娘をやめていいですか?」第6話の感想です。ついに、娘の美月が家を出ました。
果たして娘は、母親から自由を勝ち取れるのか?以下からどうぞ。
全てを捨てて親から逃げる覚悟が必要か?
先週「母・顕子のラスボス感がスゴい」ということを言いました。その期待にもれず、母は次の段階へと強化を遂げました。
顕子のラスボス感が半端なかった5話の感想はこちら⇒家出したい成人は要チェック。「お母さん、娘をやめていいですか?」感想。
具体的には、
・建築会社の壇蜜を口車に乗せ太一の住所をゲット
・待ち伏せして太一宅まで手巻き寿司のデリバリー
・勝手に合鍵を作って部屋に侵入し、掃除と洗濯
早瀬家の母は、家を出たくらいで諦める人間じゃありませんでした。合鍵を勝手に作って侵入など、太一が警察に訴えたら即逮捕です。
ここまで来ると、本当に仕事や人間関係も全て捨てないと、毒親から自由になることはできないのか。家族の問題も、深刻になればストーカーと同じくらい危ないものの気もします。
まだストーカーなら、「接近禁止命令」が出せます。が、母親が娘への接近を禁止する命令は、今の日本じゃまず出せないです。
顕子のように子供を追っかけまわす母親が、どれくらいいるか分かりません。が、もうちょっと法律の面でも「ストーカー的毒親対策」が進まないもんかとちょっと思います。
人生に手遅れはない
本当だったら、母親が自分でカウンセラーを見つけて治療するのが一番です。が、人間、齢をとればとるほどトラウマ治療が難しくなります。
自分の考えを変えるということは、今までの人生全部を否定することです。人生50年、60年と生きてきて、「今まで自分らしい人生を歩んでこなかった」と認めるのはとても恐ろしいと思います。
それでも、死ぬまで歪んだ考えに縛られるのも嫌じゃないでしょうか?人は若返りませんが、何歳になっても新しい人生は始められます。70だろうが80だろうが、手遅れということはないです。
「味方or敵」の考え方は危険
こんなどこまでも追ってくる母親がいたら、やっぱり心が病みます。娘・美月も、せっかくの新生活に顕子が割り込んできて苛立ちを隠せません。
母親にも優しい太一には、「どっちの味方なの!」と八つ当たり。嫁・姑問題などで、こういうことを言う人は多いんじゃないでしょうか。もしくは「仕事と私どっちが大事なの!」もありそうです。
しかし言われた方の身になって考えれば分かりますが、「別にどっちの味方でもない」のが相手の本音。そもそもこういう問題を、「敵・味方」で割り切ろうとするのが間違いです。
人間関係がこじれる一番の原因。それは、今週の美月のような「敵か味方か」「正しいか間違ってるか」の二元論でものを考えることです。
味方には「ずっと味方でいてね」とプレッシャーを与え、敵には「あんたは間違ってる」と徹底的に打ち負かす。これでは、一緒にいる人も気が休まりません。
二元論の奥にあるのは、「こうあるべき」という凝り固まった考え方。元はと言えば、美月が考え方をするのも母親・顕子の影響です。
いくら家を出ても、この二元論にとらわれている限り自由にはなれません。相手が間違っているかどうかではなく、あくまで「考え方の1つ」と捉えることです。
かくいう私も、「~すべき論」が大好きな人間です。世の中は正しい人間と間違った人間がいて、正しい人の言うことは絶対だと思っていました。
未だに人の言うことを信じやすい面はありますが、今は「是々非々」の考え方を少し学びました。一人の人のなかにも、「共感できる考えと共感できない考えがある」ことが分かってきたのです。
普通は「そんなの当たり前じゃん」と思われるでしょうが、二元論の信者にはまず分からないことです。無意識のうちに、「~すべき論」で苦労している人は多いと思います。
こんな二元論的な考え方を抜け出すには、「自分が感じたこと」を大事にすることです。なにかモヤッと感じたら、「何故モヤッとするのか?」をじっくり考えます。
怒りでも哀しみでも、まず「何故?」と己に問う。いつもなら反射的に感情が動くところを、客観的に「どうしてそう感じるんだろう?」と考えてみてください。
ちなみに私が不安になったりイライラするのは、十中八九「お金」が絡んできたとき。これに寝不足が加わると、「キレるモード」のスイッチが入るので面倒です。
キレる問題はこちらの本が詳しいです。レビューはこちら⇒田房永子さん「キレる私をやめたい」感想。怒りっぽい性格を直したい人へ。
多分「お金を稼げない=自分で自分を養えない」という考えがあり、そこから「情けない」みたいな感情があるんだと思います。
もっと図太くなろう
しかしこういうときほど、「だから何だ」と考えるようにしています。
社会不適合者でほぼ引きこもりで、ライター業が鳴かず飛ばずで収入がない。それでも、「自分はダメ人間ではない」という気概が大事なんじゃないかと思っています。
家を出た美月にしても、もし母親がごはんを作りに来たら「食費が浮いてラッキー!」くらいに軽く考えればもっと楽なんじゃないでしょうか。
顕子の友人も、「もうお母さんのことは気にしなくて良い」と言っています。せっかく距離を取ったんだから、母親が何をしようが気にしない気概も大事です。
(ただ母親の太一宅への不法侵入は、早めに引っ越すか警察に相談するか、対策した方が良いとは思います)
顕子の行動に一喜一憂しているうちは、まだ支配されたままです。親が何をしようが、「私には関係ない」という図太さを持つことが肝心なのかもしれません。
父、方向性が惜しい
そして、今週の父・浩司。やたらと「闘う」というワードを口にしていました。
その言葉通り、社長に直訴など「玉砕覚悟」の思い切った行動が目立ちました。今までくすぶっていたのが、一気に火を吹いた感じです。
しかし、その頑張りは良いのですが、どうも方向性が間違っているようにも思います。今、浩司がやることは、会社への直訴ではなく「顕子を支えること」じゃないでしょうか。
「俺も仕事で頑張ってるからお前も頑張れ」というのでは、ただ自分の都合を相手に押し付けているだけです。これでは、顕子が怒り出すのも無理はありません。
まずは、「今まで悪かった」と心の底から謝罪することじゃなかろうかと思います。最初に顕子の気が済むまで話しを聞いてあげないと、先に勧めません。
仕事で玉砕するのは、妻が落ち着いてからでもできます。夫としてはしんどいですが、相手に変わって欲しいならまず自分が態度を変えないとだめです。
ただ、浩司がようやくやる気になったのは大きいとも思います。そのやる気の方向性を正してくれるような、カウンセラー的な存在がいれば上手くいくかもしれません。
親の支配から抜け出すのは、ただ距離を取れば良いという問題でもありませんでした。その距離を、物理的にも心理的にも再び詰めてこようとする母親に恐怖しました。
全く解決の糸口が見えませんが、残り2話でどう収めてくるのか?今から楽しみです。