中野晴啓【投資信託は、この9本から選びなさい】感想。老後のお金が心配な初心者におすすめの必読本。
先日読み終わった、「投資信託は、この9本から選びなさい」の感想紹介する。老後のお金が心配な人や、資産運用を始めてみたい投資の初心者におすすめの本だ。
この本を書いた中野晴啓さんによれば、日本でおすすめできる投資信託はたったの9本しかないという。それを知らずに投資を始めると、資産を増やすどころか今あるお金まで減ってしまうかもしれないのだ。
投資は長期でやるのが基本
投資というとギャンブルみたいなイメージがある人も多いと思うが、それは誤解だ。ちゃんと対策すれば、損する可能性を低くしつつお金を確実に増やすこともできる。
そのために大事なのは、長い時間をかけて投資することだ。時間をかけてコツコツ積み立てることで、誰でも安定してお金を運用できる。
なんで長期投資でリスクが減るかというと、これはドルコスト平均法の考え方が基本にある。同じ100万円でも1回で投資するより、10回に分けた方が損しにくいという理屈だ。
ドルコスト平均法については、こちらでも説明してます⇒【目指せ10万円】積立FXで毎日コツコツ。実録・30代独身女の積立投資
しかし長期といっても、具体的に何年くらいかけて投資するものなのか?中野さんは投資の期間について、「一生続けるもの」と言っていた。
中野さんいわく、3~5年ではていどでは時間が足りな過ぎるという。最低でも10~20年くらいかけないと、資産は増えないものなのだ。
長期投資の例として、海外のお金持ちの話も出てきた。スイスの銀行に口座を持っているお金持ちは、それこそ「おじいさんのおじいさん」くらいの代からずっと投資を続けてきたという。
最初は大したことのない金額でも、100年近くかければひと財産になる。100年というとなかなか想像しずらいが、長期投資とはそういうものらしい。
長期には投資信託がおすすめ?
長期の投資に向いたものとして、中野さんは投資信託(ファンド)を勧めている。中野さん自身も「セゾン投信」という投資信託会社をやっていて、そこでファンドを扱っているのだ。
投資信託というのは簡単にいうと、たくさんの人からお金を集めて色々な国や会社へ投資するというものだ。管理はプロがやってくれるので、買う側はほぼ放ったらかしで済む。
中野さんが投資信託の会社をやっているから、投資信託を勧めているんじゃないかという声もありそうだ。確かにそういう面もあるかもしれないが、それでもファンドは初心者でも投資しやすく、資産運用には持ってこいだと思う。
いい投資信託の条件とは
だが、ただファンドに投資すればもうかるというものでもない。投資先がもともとダメだったら、いくら投資したところでお金も増えようがないからだ。
特に10年20年となると、そのファンド自体が途中でなくなるということもある。長期投資をするには、何年たっても安定して成長してくれるようなファンドが欠かせない。
しかし今現在、ファンドは3,000本を超えている。このなかから長期投資に向いたものを選ぶというのは、シロウトにはほぼ不可能だ。
そこで中野さんは、長期投資向けのファンドの条件を本で紹介している。ポイントは、以下の6点だ↓
1.信託期間(ファンドをいつまで運用するか)が無期限であること
2.分配金(投資の利益)を、再投資に回してくれること
3.買うときの手数料がゼロ&管理費用が安いこと
4.ファンドの純資産が30億円を超えていて、資産が増え続けているもの
5.少額(月5,000円くらい)から自動で積み立てができること
6.投資先が全世界に分散している(バランス型)であること
この6つのポイントでファンドを調べたところ、残ったものはたったの9本だったという。それだけ日本は、ダメファンドが多いということだ。
しかし逆に言うと、その9本から選べばいいんだから楽ではある。具体的なファンド名やその中身は、実際に本を読んでチェックしていただければと思う。
しかしその9本の中で私が気になったファンドを1つだけ紹介すると、「世界経済インデックスファンド」というものがある。
世界経済インデックスは、その名の通り全世界に分散投資をしているファンドだ。かれこれ運用が始まって8年、資産も順調に増えて続けている。
この本にかぎらず、世界経済インデックスファンドはファイナンス系の雑誌でもおすすめ投資信託としてよく紹介されている。老後の資金をたくわえるには、おすすめのファンドといえるんじゃなかろうか。
月3万円からコツコツ投資で3000万!
長期投資だと、一発当てて大儲けみたいなことはできない。が、老後の資産を増やすのに、誰もハラハラドキドキはしたくないはずだ。儲けが少なくても、確実に増える方が安心できる。
しかし儲けが少ないといっても、うまくやれば30年後に数千万円というのも夢じゃない。ギャンブルのようなことをせずとも、まとまった老後の資金は作れるのだ。
月3万円をただ貯金するだけでは、そこまでお金は増えない。30年マジメに積み立てたとしても、
・1年→3万円×12ヶ月=36万円
・30年→36万円×30年=1080万円
と、1000万円くらいまで増やすのがやっとだ。
しかし投資だと、複利でお金を増やせるから、儲けはもっと大きくなる。
複利とは、投資でもうけたお金をさらに投資に回すことをいう。もし100万円の投資で1万円もうけたとしたら、その1万円も投資に回してしまう。
1万円を再投資すると、投資の元手が101万円になる。元手が増えることで、よりお金が増えるスピードが上がるのだ。
もし利回り(お金がどれだけ増えるか)が毎年6%のファンドに毎月3万円を投資すると、30年で2,938万円になる。貯金と比べると、3倍近い差だ。
最初は大したことがなくても、期間が長くなるにつれて差がどんどん開く。時間をかければかけるほど、複利の効果は大きくなるのだ。
[ad#kijinaka]
独自系のファンドが熱い?
おすすめのファンド9本以外にも、面白そうなファンドがチラッと紹介されている。それは、独立系と呼ばれるファンドだ。
独立系ファンドは銀行などの窓口を通さず、投資信託会社から直接買えるファンドをいう。中野さんのセゾン投信も、独立系の投資信託会社だ。
中野さんがいうには、独立系のファンドはどれも長期投資のことを考えて作られたものだという。まだ規模が小さいものが多いが、将来的には大きく成長する可能性を秘めている。
独立系のなかには、今大人気の「ひふみ投信」もある。こちらは日本の株式に投資するファンドだが、どの証券会社のランキングでも上位にランクインしている。
私もひふみファンドは、テレビで知ってから気になっていた。収入が増えたら、試しにひふみのファンドも買ってみたいと思っている。
窓口で投資信託を買うのは損?
しかしファンドは銀行や証券会社でも買えるのに、なぜ独立系のファンドがあるのか。それは、今ある窓口ではまともなファンドを買えないからだという。
日本では投資信託というと、銀行や証券会社が収益を増やすための道具になってしまっているという。投資信託を買うときに銀行へ払う手数料や、管理費用などでもうけているのだ。
銀行は手数料を稼ぎたいから、なるべく多くのファンドをお客に買わせようとする。するとおすすめされるのは、短期向けのファンドになりやすいのだ。
しかし買い替えの回数が多くなると、手数料がかさんで元手がどんどん減っていく。資産を増やすはずの投資信託で、こちらは逆に損をしてしまう。
今でも投資信託は、銀行などにとって貴重な収入源だ。窓口では長期に投資に向いたファンドはまずおすすめされないだろうから、相談にいくにしても注意したい。
「どのファンドを買えばもうかるのか?」ということに目が行きがちだが、この本は投資信託の買い方や考え方などをじっくり教えてくれる。投資がよく分からないという人は、まず読んでみることをおすすめしたい。
さらに投資のプロが見た、銀行のファンド事情など裏話も面白い。こんな風にお客からお金を巻き上げるんだなあと、感心させられること間違いなしだ。