安くておしゃれなファストファッションの裏側にある問題点とは?
今回は、安くておしゃれなファストファッションが抱える問題点についてお話します。低価格・大量生産なファストファッションの裏側には、世界規模の様々な問題がかくれています。
買う側にとっても、服は安ければ安いほど助かると思います。が、ファストファッションがなぜこんなにも安いのか、その背景を考えることも必要ではないでしょうか。
低賃金労働の温床
洋服が作られるには、当然ながら「作る人」が欠かせません。ファストファッションの場合、賃金の安い海外で人をたくさん雇い、手間ひまかけて1着が作られます。
ファストファッションの工場で働く人は、ギリギリ生きるのに必要な最低限のお給料しかもらえません。朝から晩まで半日以上働いても、月給にして10,000円に見たないことも多いようです。
貧しい国ほど、アパレル産業の工場で働く人の割合は高くなっています。そのため、ファストファッションは国の経済に欠かせない存在でもあります。
が、働く人は最低限以下の賃金です。貯金などもできないので、労働者がいつまでも貧しさから抜け出せない原因にもなっています。
労働環境の悪さも問題
低賃金も問題ですが、工員の人が働く職場にも問題が多いです。
2013年にはバングラデシュで、ファストファッションの工場が入ったビルが崩れ、400人もの人が亡くなった事故があります。
この事故が起こったのは、元々オンボロの建物にミシンや人がぎゅう詰めになって耐え切れなくなったためです。工員たちは建物が危険だということを知っていましたが、雇い側はそれを聞き入れませんでした。
ファストファッションの縫製からチェックまでは、実に何十もの手順が必要です。シンプルなTシャツ1枚にしても、60以上もの作業があるとも言われています。
これだけの手順が必要なのは、「1つ1つの作業を簡単にして」「なるべく低コストで」「短い時間で多くの服を作るため」。そのためには、人もミシンもたくさん必要となってきます。
企業側は、とにかくコストを重視します。賃金はもちろん、工場の土地代など、削れるところはとにかく削りたいという思いがあります。
さらには大量のノルマをこなすため、工員の残業は当たり前。1日7~8時間を超える違法残業もしばしばです。
その結果、職場は壊れかけのビル、深夜12時を超えての労働、仕事中にケガをしたり体調を悪くしても労災が出ないなど、ブラック企業顔負けの労働環境ができあがっています。
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環境への負荷
ファストファッションは労働環境だけでなく、環境の面でも問題があります。服を作るコストはもちろん、服の原料のコストもギリギリまで削られているからです。
効率を良くするため、材料の綿を育てるときは強力な農薬を使います。綿が育った土地は農薬が残って汚染され、農薬を使った労働者も健康を損ねます。
さらには、服を染める染料にも問題があります。こちらも質の悪い染料を使っているので、洗い流すときの水が汚染。服を染める人の手もあれ、深刻な皮膚病になることもあります。
衣服の大量廃棄
服が作られるときだけでなく、その後の処分のことも考えねばなりません。大量生産の常として、その裏側には洋服の大量廃棄があるからです。
店側の在庫処分だけでなく、洋服を買った一般家庭からも大量の廃棄服が出ます。日本でもここ数年は、ファストファッションの影響で捨てる服の量が増える傾向にあります。
洋服を大切にできなくなる
ファストファッションの裏側にある問題がなかなか改善しないのは、私たち「消費者」の考え方にも問題があります。
「安ければ安いほど良い」「流行ものはワンシーズンで買い替え」という思いが、低コスト・短いサイクルを生み出す元です。「使い捨て感覚」で、ファストファッションを着る人もいるのではないでしょうか。
ファストファッションの1番の問題は、「1着1着を大切にできない考え方」を当たり前にしてしまうことです。これは服だけでなく、そのほかのものを大切にできない温床にもなり得ます。
ファストファッションを全否定するワケではありませんが、「安いから適当に扱う」というのは良くありません。たとえ安い服でも、買うときはじっくり考え、長く着る工夫も必要かと思います。
かくいう私も、ユニクロのブラトップの愛用者です。今使っているものはかれこれ数年経ちますが、ギリギリまで使い続けようと思います。
ファストファッションの問題をどうにかするには、私たち「買う側」の意識を変えねばなりません。私たちが変わらないかぎり、企業側が勝手に変わることはありません。
私自身も、ファストファッションについてはこれからも勉強していきたいです。まずは自分から動くことが、解決の一歩には大切ではないかと思います。